豊島逸夫の手帖

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14時間を超すマラソン・ギリシャ救済交渉

2015年7月13日

今回のギリシャ第三次救済交渉はもめにもめて、ついに現地深夜(日本時間朝)まで続いた。

なぜ、予想をはるかに上回る時間を要したのか。

それは「不信感」に尽きる。

まず、債権団はギリシャを信用できない。これまで、ブリュッセルでは歩み寄りの姿勢を見せ、帰国するや「バカげた」債券団の提案と語るなどのケースを繰り返していた。

それゆえ、今回のギリシャ側からの新提案も、「これが必ず実行できる証拠を見せろ。」と迫る。

しかし、「証拠」など示せるものではない。そこで、構造改革について、出来るだけ早く「議会で法制化」することが「証拠」とされるに至った。

次の不信感は、ドイツとフランスの亀裂。

フランスはギリシャに同情的だが、ドイツは一貫して厳しい態度。ドイツは国民感情がこれ以上の資金投入を許さない。いっぽう、フランスは長期的に財政不安が顕在化する可能性をひめる。「明日は我が身」との本音がちらつく。既に、救済側から被救済側に立つ要人発言が目立つ。

この立ち位置の違いが、交渉過程であらわになってしまった。これは、「ユーロ内の亀裂」として、深い傷を残したといえる。

欧州の「コア国」とされるドイツ・フランス対立の構図は、ユーロの団結・信認が揺らぐ事態を想起させている。

次の「不信感」はギリシャ国内のチプラス首相と他政党。そして首相と国民。

国民投票で緊縮NOを示しておきながら、結局、債権団に譲歩した形で、緊縮を受け入れた。

ギリシャ国民は納得できない。それは、政権への不満。

政局混迷につながる。現政権交代も現実的なシナリオになった。

そして、不信感はEUにも向けられた。

7月12日が、絶対的な「最終期限」と明言しながら、結局、遂に決着できなかった。

総じて、ユーロそのものの信認が大きく損なわれる一日となった。

尚、週末は、ツイッタ―@jefftoshimaで、詳細に交渉進展状況を書き入れた。これを通して読めば、流れがよく分かるよ。

昨晩は徹夜。

朝5時にテレ朝からお迎えで、朝のニュースとモーニングバードに生出演でギリシャ交渉語った。

それから、今日発売の週刊エコノミストではリード記事に登場。ここで全文読めるよ。円高くるか?

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http://www.weekly-economist.com/

同じく今日発売の東洋経済にはインタビュー記事。こちらは、ギリシャについて。

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それから英文原稿が二つ。

・魔の月曜は続くか?

http://asia.nikkei.com/Features/Market-Turmoil/Global-markets-brace-for-third-straight-Monday-morning-plunge

・上海株バブル破たんか?
http://asia.nikkei.com/Features/Market-Turmoil/Chinese-investors-disposition-same-as-ever-as-Shanghai-bubble-bursts



これで、英語のお勉強でもしてちょうだい!

写真残り2枚は、メルケルおばさまが、チプラス君にコーヒーでもいかが?でも目が笑ってない。。。

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新任のギリシャ財務相。いきなり、EUサミット・キャンセルに。

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最後にツイッタ―で受けたつぶやき。上海株やってた中国人。

「四日前は車が買えた。三日前は大型TVが買えた。二日前はデジカメが買えた。今日買えるのはクッキー。」

2015年