豊島逸夫の手帖

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ギリシャ・中国・福島、おひとりさまの悲劇

2015年7月31日

ギリシャ・中国そして筆者の第二の故郷、福島で、自殺の事例が相次いでいる。いずれも理由は経済的困窮。なんとも痛ましい。

ギリシャでは、アテネの40代の男性。既に長くうつ病を患っていた。失業期間も長く、日がな一日、家に閉じこもる生活だった。たまたま、快晴の日に気分晴らしに表通りのカフェで、精一杯のぜいたくのコーヒー1杯を注文して、数時間、ボーッと座る生活。でも、人間的には優しい性格という男性が自殺したという。

最近、ギリシャでは経済的困窮による自殺者が急増。

後世にこの悲劇を伝えるため、22歳の彫刻家が、株価曲線のモチーフから飛び降りる男性の像を作り、アテネ市に寄贈。海岸近くの交通量が多い交差点に面して、展示されている。

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ギリシャがユーロ離脱回避の代償として受け入れた新緊縮条件は、多くの国民を生活保護水準に追い込む。そこで悲鳴をあげ、実行を拒めば、再び、銀行休業は不可避だ。更に、今度は預金封鎖の可能性も視野に入る。そのような状況下で、チプラス首相もメルケル首相も夏休みはとるようだ。

いっぽう、中国では、30代の男性が自殺した。好青年で、結婚を控え、こつこつ蓄えたマイホーム資金を、株式投資につぎ込んでしまった。御多分にもれず、信用取引の罠にはまり、結局、全額を失い、更に、借金を作ってしまった。優しい性格だったので、絶望感に耐えられなかったようだ。遺族によれば、株式損失による自殺は、今や、後を絶たないそうだが、報道はされていないという。株価急落による社会不安は確実に拡散している。


そして福島。

震災前から、経済的困窮による自殺者の話はしばしば耳にしていた。それが、震災後は、明らかに増えている。過疎の村に住む中年の男性が、ギリシャの男性同様に、悶々とした生活を続けるなかで、自ら命を絶った。皮肉にも、震災後は、衣食住ともに県からの補助でやりくり出来ていたので、経済的には震災前よりは改善されていた。日がな一日、パチンコの騒音の中で過ごすことが、唯一の「癒し」だった。しかし、「精神的」飢餓状態が、心を徐々に蝕んでいったのだろう。あっけない最期だったという。


ギリシャ・中国・福島。

共通項は、いずれも働き盛りのおひとりさま男性ということ。

重い事例である。


さて、昨晩は、証券界の大御所と会食。

いわく「株は上がり切り、金は下げ切った。」

「投資セミナーの参加者の反応を見ていると、キャバクラの客の如し。最初は、そしらぬ顔で、座っている。30分もすると、姿勢が立ち、目が輝いてくる。1時間過ぎると、前のめりになり、目は爛々としてくる。」

なるほど、大御所の指摘は鋭いw

今日の写真は、季節の生菓子。

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そして大御所の奥方でなければ入手困難な超人気クッキーセット♪

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英語の勉強したい人は以下の英文原稿。

上海株暴落、習政権への衝撃

http://asia.nikkei.com/Markets/Equities/Shanghai-stock-crash-could-prove-fatal-to-Xi-government?n_cid=NARAN012


2015年