2015年11月26日
テロ組織にも、それぞれ大きな特徴がある。
アルカイダは本部・支部が指令系統で動く中央集権的組織。資金力もあり、911のような大規模テロを綿密に計画して時間をかけ実行する。対して、ISは組織図が不明瞭で、地方分権的な集団だ。少人数のテロリストグループが無作為に各地に形成され、殺戮行為を繰り返す。標的も、サッカー場から街中のレストラン、そして民間ロシア機に至るまで、多様化している。ゆえに「次の標的」を特定しにくい。場合によっては、イスラム教徒を巻き込む可能性が高くても、無機質に実行に及ぶ。アルカイダは、イスラム教徒に危害が及ぶ状況は避ける傾向があった。更に、ISは、少人数で無作為に動くので、国境警備の網をすり抜けやすい。そして、ISのテロリストは、両親が自慢の息子だったりする。家庭内で自分の部屋に引きこもり、ジハード思想に染まり、過激化してゆく過程で、家族でさえ気が付かない事例も少なくない。かと思えば、モスクのあるイスラム街に住まっていても、モスクでは見かけない顔がテロリストというケースもある。テロの根源が、宗教だけではなく、貧困・差別に起因すると言われる所以であろう。
対して、アルカイダは、組織で動くので、犯行後に何らかの足跡を残す場合がある。
ゆえに、アルカイダの摘発には警察機構の強化が有効だが、神出鬼没でモグラ叩きの様相を呈するIS掃討作戦には軍隊の助けが必要になる。
最近は、アルカイダとISの間で、若者リクルート合戦が展開されている印象も強い。
今後も、この二つのテロ集団に、他のグループも混じり、テロの共振現象が強まるかもしれない。
なお、今回のトルコによるロ機撃墜は、ISとの関連もさることながら、両国独自の理由が背景にあるようだ。
まず、現場の地形だが、トルコ領土がシリア領土内に向けて半島の如くつきだしている。その半島型の先端近くをロシア機が侵犯したか否かで両国の言い分が異なるわけだ。客観的に見ると、ロシア機が、その半島型の先端部を通過する時間は約17秒とされる。従って、判定も困難で、狙い撃ちもかなり難しい状況だったようだ。
それでも、両国には譲れない事情があった。
まず、現地近くの反政府勢力に多くの外国人傭兵が混じり、かなりの部分がコーカサス地方出身、特にチェチェン人で占められていることは、かなり前から指摘されてきた。チェチェン人といえば、ロシア支配に最後まで強硬に反抗した「ツワモノ」として知られる。ロシア側から見れば、彼らをここで徹底的にたたき、かりにもロシア国内に異分子として侵入することがないように自衛措置を講じる必要があったのだろう。
いっぽう、同地域には、トルコ人の同胞であるトルキスタン人が居住。トルコ側は、「いとこ」達を守る必要があったわけだ。
結局、ロシア、トルコともに、今回の事件に限っては、ISの事は二の次。まずは、自国の利害優先で動いたといえる。
思想的問題に民族問題、そして経済的依存関係がからむことが、シリア情勢の読みを難しくしている。
近況報告
売れない演歌歌手が一曲「ゴールド音頭」というヒットを飛ばし、日本各地を渡り歩いてます(笑)。最近は、「たそがれのフォルクスワーゲン」「涙の難民」「ギリシャ慕情」「上海は雨だった」「北酒場のイエレン」など新曲レパートリーも増えましたww
大晦日のトリは「さすらいのアベノミクス」かな。。。