豊島逸夫の手帖

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天津大爆発、日本への影響も

2015年8月17日

世界第四位の港、天津大爆発はタイミングが悪かった。

輸出依存型経済モデルから内需主導の経済への戦略的転換点で、この大事件が起こり、日本企業を巻き込み、サプライチェーンが破断された。

ときあたかも、目指す内需は不動産不況の余波で盛り上がらない。

大都市では不動産価格の上昇も見られるが、全体で見れば、まだ住宅過剰在庫を持て余している。新規住宅建設が低調なので、そこで使用される素材である鉄やセメントなどの需要も急減している。そうなると負の連鎖で、鉄やセメント工場の設備投資は増えない。

更に、新たな経済を主導する産業セクターとして期待されている健康医療、教育、観光、情報産業などへの移行も遅々として進まない。

現状を放置すれば、世界的経済減速で旧経済モデルの輸出も盛り上がらず、かといって新経済モデルの産業も伸び悩む。まさに、経済構造変換の端境期にあるわけだ。

そこに天津大爆発の追い打ち。

既に、習政権は、人民元切り下げという「伝家の宝刀」を抜き、ちからづくで、中国製品の国際競争力を高め、他国の輸出を奪う戦略に出ていた。今回の急激な人民元切り下げは終息したようだが、また、近い将来、その第二ラウンドが起こるだろう。通貨安競争は終わっていない。

今後、中国は利下げ・銀行準備率引き下げなどの金融緩和策もさらに繰り出すことになろう。

いっぽう、日本も4~6月期GDPマイナス1.6%、更に、7月の消費者物価もマイナスの可能性。そこで、日銀追加緩和の可能性が高まっている。

そうなると、シナリオとしては、米利上げが予想される9月に、日中同時追加緩和の可能性も浮上する。

かりに、そうなると、円安は127円に向け急速に進行しよう。

米国にとっては、ドル高傾向が更に強まり、米国企業業績のマイナス要因が顕在化するは必至だ。

そのような状況で、FOMCは9月利上げに踏み切れるものか。筆者は、できないと思う。

なお、金については、人民元安が進行することで、人民元建て金価格が上昇傾向になるので、値上り期待の民間投資需要が増えてきた。

更に、中国人民銀行は7月に公的準備を19トン買い増したことを明らかにしている。

官民ともに中国の金買いが再びクローズアップされてきたことは注目に値する。

そして、今日の写真は、ホンモノのザッハトルテ。

ミラノ、スカラ座そばにある名店が東京に出店。

濃いチョコレートが酷暑でへばったカラダに沁みた。。。

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それから、今日発売の週刊現代「この秋、日本郵政・ゆうちょ・かんぽ超大型上場。買いか?」との記事で、私は否定的な見解を述べています。今朝発表されたところでは、11月初旬みたいだね。

2015年