豊島逸夫の手帖

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トルコ迷走

2015年10月13日

トルコは、NATO(北大西洋条約機構)に加盟し、中東との防波堤役となっているが、EU(欧州共同体)への加盟は認められていない。人口はドイツに近い規模で、領土は殆どがアジアに属するイスラム圏の国に対する伝統的違和感が未だにぬぐえない。

トルコ史上最大のテロ事件の数日前にも、メルケル首相は、ドイツの公共放送ARDで、トルコのEU加盟反対と断じていたばかりだ。

いっぽうで、シリア難民の経由地となっているので、EUの立場では、難民流入規制などの協力を要請せざるをえない。

更に、米国はかねてからトルコ国内の基地をシリア空爆のために使用している。ペルシャ湾に停泊する空母から離陸するより飛行時間が短縮できるからだ。

しかし、米軍主導の有志連合はクルド人部隊と連携してイスラム国掃討作戦を進めているので、トルコ側も国内基地使用拡大に関しては慎重にならざるを得ない。

そこで、今回のテロ実行犯としてイスラム国の名前が挙がるが、確認はされていない。

くわえて、5日には、トルコ外務省当局者が、ロシア軍機が4日にもトルコの領空を侵犯していたと明らかにしている。

そもそも、今回のテロ事件は、国内少数民族クルド人の中の武装派に対するトルコ政府軍の大規模軍事作戦に抗議して和平を訴える集会の現場でおこった。

クルド人問題、イスラム国問題、そして難民問題をかかえ、エルドアン政権も不安定で、選挙をむかえる、というタイミングである。

しかも、オバマ大統領は、イスラム国掃討のために進めてきたシリア反体制派への支援策を縮小するという方針転換を表明したばかりだ。ロシア軍空爆で弱体化した反体制派を見切るかのような動きだが、シリア国内のクルド系反体制派組織には、武器・情報を提供するもようだ。

シリア情勢を巡る主導権がロシアとアサド政権に移るなかで、トルコの立場も微妙になる。

今回のトルコ・テロ事件には、米国の中東での影響力が低下し、中東情勢が迷走するタイミングを周到に計算した過激派の意図も透ける。

筆者は、来週、難民視察のために、トルコ訪問の予定だったので、決行するか否か再考中である。

さて、金プラチナともに、米利上げ先送りシナリオの中で続騰。

1160ドル台と980ドル台。

金プラチナ値差縮小。といっても、まだ180ドルもあるけど。

利上げ時期がもっと明白になるまでのショートカバーラリーだね。

そして、今日の写真。

まずツイッタ―に貼ったけど、国慶節終わった中国での超渋滞。


50レーンが料金所すぎて6レーンになるところ。そりゃ、渋滞するよね。その規模がハンパない。これ、すべて、スモッグの元。

そして、裏磐梯ぼなり高原ゴルフ場。


安達太良山の上のほうが赤みがかっている。

紅葉の名所。

その絶景の中で、パットが入った瞬間。


日経の人気ゴルフ場東日本2位にはいるだけあって、

10月紅葉の季節は、平日でも満杯。

2015年