豊島逸夫の手帖

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米利上げ祭り終わり、苦い夜明けのコーヒー

2015年12月18日

モーニング・アフター。徹夜ではしゃいだ後、夜明けのコーヒーで、相場が覚醒した感じだ。

利上げは、米経済回復の証しのはず。しかし、株式相場は、いきなり米経済指数悪化の洗礼を受けることになった。

17日発表の米フィラデルフィア連銀製造業景況感は、市場予測(プラス2.0程度)を大きく下回るマイナス5.9.前月比でも7.8ポイントの低下だ。

既に、1日にISM米製造業景況感指数50割れ、約6年半ぶりの低水準という衝撃を受けていたので、製造業が悪いことは織り込み済みだ。しかし、米利上げ翌日というタイミングが悪かった。

17日の世界の株式市場は、米利上げ決断に安堵して、NY高を受けアジア、欧州と上昇が続いた。しかし、安堵感の賞味期限は思いのほか短かった。

追い打ちをかけるように、外為市場では、米製造業への逆風となるドル高が進行。更に、原油安も誘発。

米国経済に占める製造業の割合は低く、非製造業依存体質とはいえ、金利上昇の景気抑制効果が、連鎖的に顕在化してしまった。

振り返れば、9月FOMCで利上げ見送った後で、米雇用統計の大幅悪化が発表された。そのときは、見送って「結果オーライ」とイエレン氏も胸をなでおろしたかもしれない。しかし、今回は違う。さっそく、利上げ決断の是非が問われかねない。

常々、イエレン氏は、経済指標の短期的変動にとらわれないことを強調してきたので、今回も、そのスタンスがぶれることはないだろう。

とはいえ、利上げ決断の難しさを思い知らせるごとき成り行きになってしまった。

どうやら、2016年も、FOMC会合のたびに、利上げ有無が市場で材料視されることになりそうだ。マーケットは、利上げの呪縛から解放されそうにはない。今週の相場展開は、米利上げ劇全幕のプロローグにすぎなかった。2016年の利上げ回数も2回程度との見方が台頭してきた。今後、2回か、3回か、4回か、見方が変わるたびに、相場が振り回されるのだろう。

利上げに対する不透明感が本当に払しょくされるのは、いつのことか。金融政策頼みの相場が続く限りは、払しょくされないのだろう。短期的変動に惑わされず、市場の潮流を読むには、やはり、構造改革の進行度をフォローするしかあるまい。具体的には、生産性に関する経済統計をジックリ見極める必要がある。

毎月お騒がせの雇用統計やFOMCのたびにボラティリティーが高まるのでは、ヘッジファンドの思うつぼだ。

今回の米利上げ騒動は、市場に苦い教訓をあらためて残した。

金プラチナもドル高を受け急反落。金は一時1040ドル台。しかし、なんとか1050ドル台を維持。プラチナは840ドル台。底値圏なれど、日々の値動きは荒い。持久戦だね。

明日朝は大阪の地上波で「米利上げ」の説明するのだけど、これを一般の人に分かりやすく説くのは至難の業。プロ相手のほうが、よっぽど楽。政治問題は人間臭いから、素人でも興味持ち、理解もできるのだけれど、経済問題は、最小限でも知識がないと、分からないもの。そもそも、金利といっても、主婦の立場なら、銀行預金の利息が増えて歓迎、となるだろうが、夫の立場だと、勤め先の会社の資金繰りが利上げで苦しくなり、ボーナスは減り、最悪リストラになるかもしれない。それぞれの立場で、受け止め方が違ってくる。円安効果の是非も、その際たる例だろう。番組では、そこに専門家集団も、一言言いたいと入ってくるからね~~~。いやはや、まとめるのが難儀だけど、実は、それを楽しんでチャレンジしてる(笑)。 BS系の超真面目な経済番組との雰囲気の違いに、どう対応するか。調整能力が求められる。

今日の写真は、富山産のツブ貝。


冬来たり、いよいよ、鮨の醍醐味。たまらんねぇww

2015年