豊島逸夫の手帖

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読者が選ぶ金融商品第二位に金、手負いの投資家の選択

2012年1月6日

1月4日、日経電子版で発表された読者790人対象のアンケート調査、「2012年に投資したい金融商品」。
54%の"日本株"に次ぎ、第二位に"金"が入った(23%)。第三位は"投資信託(外国株で運用)"で20%。

「リスク対策として保有したい」、「有事の金」、「分散投資のため」、「日本国債の暴落に備えたい」といった意見が寄せられ、値上り益を狙うというよりは、リスク分散の一環として保有を考えるようであったとのこと。
この傾向は、筆者が投資最前線で、肌で感じていることでもある。
金購入意向を聞くと、必ずといっていいほど、50%以上の投資家が「金は紙くずにならないから」と答える。リーマン・ショック前には、「金で一儲け」を目論む投資家たちで、セミナー会場の雰囲気もムンムンしていたものだが。
かくして、株やFXで満身創痍となった「手負いの投資家」が、「金」という「駆け込み寺」の門を叩く。
リターン追求、リスク軽視に懲りた彼らの発想は、金で損を取り戻そうというより、ポートフォリオ全体のリスク軽減である。株を"攻め"とすれば、金は"守りの資産"と位置づけられる。質疑応答でも、「金はどこまで上がるか」という質問より、「下がるとすればどこまで下がるか」という問いが遥かに多い。「下がったら買う」という発想が顕著で、事実、昨年末から金価格が1500ドル台まで急落した局面では、それまで売り戻し一色であった店頭に、一転、大量の新規買い注文が入った。
同調査でも、金と答えた人たちのコメントとして、「殖えなくても、目減りと将来の日本国国債暴落に備えたい」、「金をリスク対策として少量を押し目買いしたい」、「将来下がりきったところで、長期投資で持ちたい」、「資産運用が安全にできる環境が2012年に整うことは無理だと思いますが、消去法で考えて選択した」などなど。
「この一年間の資産運用の成績が、ほぼトントン」と答えた人たちのコメントとして、「プラスは金の一言につきる。マイナスは、国内は震災による株価低迷。海外は欧州不安や円高」、「金価格の上昇で、長く続けてきた純金積立に救われた」という言葉が象徴的であった。

なお、同調査は日経電子版 www.nikkei.comの「マネー」から入り、「コラム」ページを開けてスクロールすると、「マネーHOTトピックス」に出ている。
なお、1月3日(火)OAの「ガイアの夜明け」金特集(テレビ東京系列)の再放送が、1月7日(土)夜8時から、BSジャパンにて放映されます。見逃した人は、どうぞ。

2012年