豊島逸夫の手帖

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ところ変われば

2012年8月7日

昨日ブログを成田で書いて、シンガポール行きフライトに搭乗したが、一向に動かず。丁度、大きな積乱雲が成田空上を通過中とかで、1時間遅れて離陸。
機中で前の席に座っていた方が話しかけてきた。筆者のブログ読者とのことでインドへの出張とのことだった。同行の編集者も交え、3人でひとしきりインド話。
そして夕方到着したが、東京より涼しく凌ぎやすい(たまたま昨日は東京も涼しかったらしいが)。8月はシンガポールが避暑地となる?
今朝の現地の新聞(ストレイト・タイムズ)の一面は、日本チームに敗れ肩を落とす女子卓球チームをコーチが抱いて慰めている写真。
同国チームが中国相手以外に敗れたのは、2008年以来のことだそうな。フクハラに3-1で負けた世界ランク8位の選手は「ショック。でも全力を尽くした。」。コーチは「慎重になりすぎた」。
今日午後6時からの韓国との3位決定戦に現地の関心が集まる。
そういう状況なので、日本人としてオリンピックの話題は避けた。

ところで、昨日はこちらで、欧州系大手銀行が東京の商品(コモディティー部門)を閉鎖するとの情報が話題になった。シンガポールに1900名ものアジア部隊を持つ銀行グループゆえ、おそらく東京からシンガポールに移すのであろう。
この例に限らず、金市場でも、東京からシンガポールへトレーディング部隊を移す動きが顕著だ。
日本人個人投資家は商品セクターに興味を示しているので、特にシニア層マネー獲得については外資系金融機関も戦略的に重視している。しかし、個人投資家が興味を示すのは純金積立とか金ETFとか、シンプルな金投資商品であり、デリバティブとか先物は敬遠する。その結果、東京の金先物取引は先細り。実は、東京の外資系トレーディング部隊の利益源が、東京市場と海外市場の先物裁定取引であったので、これが彼らの首を絞める結果となった。更に、純金積立とか金ETFは商品組成が単純すぎて儲からないのだ。例えば、金ETFの年間信託報酬は0.4%前後。アクティブ運用のコモディティー投信なら2%以上取れる。
個人投資家は金に興味を示すが、実際購入する商品は業界にとって薄利の商品。
しかし、「お客様は神様」だから、この流れが変わることはない。
純金積立や金ETFが主力商品となる傾向は今後も続くであろう。業界は色々いじりたがり、「新商品」を発売したがるが、個人投資家が望むのは、余計な付加価値を廃したシンプルな商品なのだ。
筆者は、これが当然の成り行きと思っている。
さて、これから、ジムロジャーズ邸訪問して、この一年間で5回目の対談。今回は特に彼と5歳の娘さんとのやりとりを通じて、「娘の将来のために金を買い増している69歳のお父さん」の素顔にフォーカスする。
そのあと、リトル・インディア街のゴールドショップ定点観測。
気候が東京より快適なので、長居したいが、8月なのに仕事量が増え、明日朝、とんぼ帰りで帰国である。

2012年