豊島逸夫の手帖

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身構えていた市場が暫時安堵

2012年6月11日

中国のサプライズ利下げが、週末発表の中国物価上昇率などの経済データ急激な悪化の伏線かと身構えていた市場だが、蓋を開けてみれば、それほど酷くはない。特に物価上昇率3%への低下は経済減速の影響とも理解できるが、寧ろ物価安定下の経済成長という所謂ソフトランディング(軟着陸)の兆しとも考えられる。

そして、スペイン銀行への10兆円支援合意。
マドリッド含む欧州の各紙は「スペイン救済」という見出しだが、スペインの首相は「救済ではない。銀行への支援だ。」と主張。
「屈辱なき救済」とも言われる。ギリシャ、ポルトガル、アイルランドのように「緊縮」を条件に救済してもらう「屈辱」は免れたという意味。今回の銀行への支援融資は、とりあえず、利払いだけすればよいということ。
とはいえ、誰かが、このおカネを負担するわけで、実質的には救済だと思うけど。
当のスペイン首相は、日曜日にはサッカー欧州選手権のスペイン・ナショナル・チーム応援にポーランドまで「外遊」。「我が国のサッカー・チームは良くやっている。首相が応援しにきて当然の働きをしているよ」と涼しい顔。銀行への支援を取り付ければ、これで危機回避のような言動には批判も多いようだ。
これがスペイン流なのかな。。。
一方で複雑な表情なのがギリシャ。
「そういうことなら、うちも銀行支援という形で緊縮という条件抜きで救済してほしい。」と言い出すかも。少なくても、3月の第二次救済案合意を白紙に戻す、くらいのことは選挙後の新政権が言い出すのではないかな。その便利な前例をスペインが作った感じ。

さて、市場はユーロ高。ドル安に振れたので、貴金属は買い直された。金は1600ドル台前後、プラチナは1450ドル程度まで反騰。しかし、週末にはいよいよギリシャ総選挙を控えるので、ショート・カバー・ラリーの域を出ず。(投機筋の空売りの買戻し)。

週末は九州だった。夜の部は久しぶりに大学の教室で話した。
昼の部は小倉で個人投資家相手に3時間話したので、一日喋りっぱなしだった。でも、皆熱心なので自然に時間が経って、気が付いたら、そんなに喋ったの、という感じ。
次のセミナーは日経CNBC主催金投資、株投資セミナー。

www.nikkei-cnbc.co.jp

中国、欧州出張から帰国直後のホットなレポートが出来そう。
その次の週は、マドリッド出張の予定と慌ただしい。(アテネは気温35度-40度だとか。国情も温度もホットな国だねぇ。。。)

2012年