豊島逸夫の手帖

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どこまで下がるプラチナ&近況報告

2012年7月25日

プラチナ価格の下げが止まらない。1400ドルの大台を再び割り込み、金との値差逆転現象も200ドル近くまで再拡大。
元はといえば、東日本大震災がキッカケで始まった金プラチナ逆転現象。当初から筆者は、「今回は単なる投機マネーの悪戯ではなく、需要要因のファンダメンタルズに基づくから長期化するよ」と書いてきた。でも、長期的に見れば、異常な状況ゆえ、買いでしょう、とも書いてきた。但し、買った後でじっくり待つ忍耐力が必要だと。

東日本大震災後に自動車生産のサプライ・チェーンが回復してヤレヤレと思ったのも束の間で、欧州債務危機が悪化。緊縮で欧州の自動車需要動向が危惧される事態に。更に、米国には財政の崖と呼ばれる財政危機が控え、中国経済も減速。
景気敏感メタルのプラチナにとって、強い逆風が吹き続ける。
いくら生産コストは1475ドルといったところで、需要がついてこなければ価格は下がる。
対して、不況に強い金は、リスクオフで売られがちながら、下値は支えられ、下げ渋っている。
この価格逆転現象は来年まで続くと見る。
しかし、絶対的な希少性で金に優るプラチナの価格は、やがて順ザヤに戻ってゆくだろう。プラチナ市場は現物の量が絶対的に少ない。現物持った者勝ちという面がある。ときどき現物不足でプラチナ・リース・レートが跳ね上がることが、その証拠だ。ゆえに、投機筋も空売りをかけにくい。ショート・スクイーズと呼ばれる、現物引き渡しを迫られても現物が調達できない状況に陥るとアウトだ。非情な市場により徹底的にむしられる。
それでもリーマン後には、プラチナが2000ドル台から800ドル台まで暴落する局面もあった。流動性が小さい市場の宿命だ。
希少性が高いということは、市場の流動性が少なく、長期的価値はあるものの、短期的価格乱高下に晒されやすい。
プラチナ長期保有には、投資家にリスク耐性が求められる。
長期保有のプラチナ価格が800ドルまで下がっても、買ったことを忘れ続けられるリスク耐性である。


参考までにKITCOのプラチナ5年価格チャートを貼っておこう。
プラチナを真剣に長期保有している人は、トイレにでも貼っておけば、慣れてリスク耐性が出来るかもね。

1233.gifhttp://www.kitco.com/charts/techcharts_platinum.html


さて、新大久保イケメン通りで経済論議、そして、グローバル・ママ・ネットワーク、財務省職員研修会とユニークなセミナーが続いた後は、日経ムック用のアラサー女子座談会。
投資も結婚も長期保有。なれど投資も結婚も出口戦略が難しいというバツイチのコメントに、同じバツイチ仲間として筆者も激しく同意(笑)。
今日は、同ムック用の座談会がもう一つ。筆者は草食投資隊の名誉会長なので、隊員のコモンズ投信、渋沢さん、セゾン投信の中野さん、そして投信専門家の竹川美奈子さんとブッチャケ対談。堅実な長期投資を株と金について本音で語る会。
なお、同ムック用対談は8月にシンガポールに飛び、ジムロジャーズ邸を訪問して、「娘に残すゴールド」について父の気持ちを聞きに行くのが最後。彼との対談もこの1年で5回目になったが、前回から市場環境も激変した。相変わらず外電で色々な彼のコメントが聞こえてくるが、その真偽も質したい。特に穀物について。
それが終われば、夏休み!!!!
ニュージーランドにスキーにでも行こうかな。
出張ですっかり虜になったポルトガルもいいな~。
95円のユーロを利用するチャンスだし。

2012年