豊島逸夫の手帖

  1. TOP
  2. 豊島逸夫の手帖
  3. バックナンバー
  4. 米雇用統計で金乱高下
Page1223

米雇用統計で金乱高下

2012年7月9日

先週金曜の米雇用統計は予想よりやや悪い数字。
そこで発表直後は金価格が1590ドル台から10ドルほど急騰した。景況感悪化でいよいよQE3への期待感が高まったのだ。
しかし、急騰は続かず、一転、1580ドル台まで急落。
まさにジェットコースター相場と化した。
その理由については、様々な後講釈が流布されている。
「FRBがQE3という切り札を発動するほどは雇用統計の数字も悪くない」という解釈が一般的。

しかし、マーケットの現場の感覚では、スペイン発の欧州経済危機再燃でユーロが売られ、結果的にドル高となったことが、主たる要因である。
欧州要因が米国要因より勝ったとも言えようか。

中期的な流れとしては、ECB(欧州中央銀行)と中国人民銀行の相次ぐ利下げで、いよいよ米国FRBの次の一手が注目されている中での米雇用統計発表劇であった。いずれ米国も追加的金融緩和は不可避の情勢に変わりはない。
短期的に様々な思惑と解釈で振れているが、ここは、冷静に潮流を見据えるべし。
世界的金融緩和=利下げ出来る国は金利を下げ、ゼロ金利の国は量的緩和に走らざるを得ない状況では、マネーのコスト(=金利)も安くなり、マネーの量も増えるので、過剰流動性がキャリートレードなどで新たな運用先を求め徘徊を始める。

特に金利を産まない金には利下げは基本的に追い風。短期的乱高下はあるが、ジワリと効くは必至だ。

2012年