2012年1月16日
トリプルAのフランスを含む、ユーロ圏9カ国の一斉国債格下げ。もはや、トリプルAは、絶滅危惧種になりつつあるようだ。
しかし、金曜のNY市場の反応は、比較的冷静であった。昨年、同様のニュースが出れば、まずNYダウは、300-500ドルは急落したであろう。金価格も、50ドル以上は急落したであろう。
しかし、NYダウの下げは、48ドル安、金は、8ドル安に留まった。
実は、このS&Pによる一斉格下げは、金曜NY時間の昼ごろから、欧米各メディアで「NY引け後にS&Pから重大発表」ということでマーケットには流れ、フランス財務大臣も、その旨、S&Pから事前報告があったことを認めていた。
その観測記事が流れた瞬間には、金価格もリスク回避の売りで、1640ドルから瞬間的に1624ドルまで棒下げを演じたが、それも、一瞬のこと。直ぐにV字型回復を見せ、実際に、S&P発表のニュースとなって流れた時点では、更に買いが加速。結局、1640ドル台を回復して終わっている。これが、プロの常套手段である「噂で売って、ニュースで買う」というパターンの典型である。
それにしても、欧州経済危機そのものが、マクロ・マーケットの材料として陳腐化してしまったのか?
その面も否定できないが、今後の展開は、やはり米国経済の成り行き次第であろう。
今回、NY株式市場の反応が限定的であったのは、米国経済と欧州経済のデカプリング(非連動)説による。前回本欄で述べたように、米国経済は回復の兆しが見え始め、"淡いベージュ色"、欧州経済は、"暗い灰色"という色模様の違いが意識されているのだ。
従って、米国経済のマクロ経済指標が再び悪化傾向に転じると、欧州関連の要因のインパクトが、昨年並みに強まることになろう。
なお、金曜はギリシャ発で、"同国政府と債権団との交渉が暗礁に乗り上げ決裂の危機も"という報道も流れていた。最終段階の条件交渉に手間取っている。双方の駆け引きという見方が強い。しかし、3月20日には、145億ユーロの国債償還を控え、新国債との引き換えジムだけでも、6週間はかかるといわれる。このギリギリの瀬戸際政策には、思わぬテール・リスクが伴う。
金に関しては、未だリスク回避で売られる局面が、3月にかけて頻発しそう。山はギリシャのXデー3月20日だね。
さて、今朝の日経電子版は、「ジムロジャーズ氏 金1000ドルも」。日経ビジネス今週号での6ページに亘る、筆者との対談の中で飛び出した爆弾発言。万年ブルの彼の発言とも思えぬと、筆者も思わず「そこまで言うかい!!」のリアクションであった。
今週は、シンガポール出張。金曜深夜便で名古屋に帰国。その足で、米原経由北近江の長浜へ。恒例の鴨鍋、というか、"鴨風味の雪下セリ&ネギ"がメインという感じ。しゃきしゃき感と独特の甘みがこたえられません♪。シンガポールから直行する価値あり。そして、日曜日はガーラ湯沢のスキーで弾けて、翌週から欧州出張入り。ワークライフバランスは完璧です!