豊島逸夫の手帖

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離婚エキスポ盛況

2012年4月3日

「divorce expo 離婚エキスポ」なる言葉を聞いたのは、知り合いの米国貴金属宝飾品業界関係者からであった。離婚したら金の結婚指輪を「買い取り」に出し、再婚するなら、下取りに出して、ワンランク上の指輪と交換するビジネスが成長分野だと言う。その時、筆者の脳裏をよぎったのは、御徒町の買い取りショップ店内視察の折に見た、結婚指輪の数々。「太郎から花子へ」というような具体名が刻まれていたり、「中古品」扱いだが、買ってまもない新品同様の結婚指輪が多かったことが印象的であった。
さて、件の米国宝飾業者が、更に話をつなぎ、「離婚エキスポにブース出展したら、大変な盛況で成約も多かった」という。
その「離婚関連業界」のイベントのサイトを見たら、出展社やスポンサー企業リストに、モルガン・スタンレーとかメリル・リンチなどの名前も並んでいる。資産整理コンサルティングなどが個人営業部門の成長分野のようだ。
参加社としては、他に、弁護士、FP、セラピスト、ダイエット専門家、アンチ・エージング関連業種、人気女優のスタイリスト、合コン設定業者、そして再婚斡旋会社など40社もあり、まさに至れり尽くせり。
イベントのキャッチ・コピーが「離婚計画者のためのワン・ストップ・ショッピング」というのが笑えた。
二日間の期間中に色々なセミナーも開催されている。
米国経済チャンネルCNBCでも取り上げられていて、その模様が伝わってくる。
例えば、「男性のための離婚術」というセミナー参加者の7割が、実は女性。全体の参加者も7割が女性とのこと。
特にその会場でひときわ目を引いたのが、タイトなブラックのセクシー・ウエア着用の美人。誰かと思えば、新規顧客開拓中の女性弁護士であったそうだ。
InvestiDateなる探偵会社の幹部は、顧客の注文として「相手方のメール一覧」を望む例が多いという。
自らバツイチの筆者がつくづく思うことは、結婚も投資も「出口戦略」が難しい。入るは易し、出るは難し。離婚となると、結局、友人のアドバイスなどに頼る例が多く、「プロの指南」は受けにくい。しかし、そのニーズは急増中だ。
この「離婚エキスポ」。既にパリとニューヨークで開催されたとのことだが、日本開催も遠い日ではあるまい。

2012年