豊島逸夫の手帖

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金価格は日銀の通信簿

2012年4月27日

日本経済新聞社が18年にわたり「日経ゴールドコンファレンス」という金国際会議を主催していた頃のエピソード。夕方のカクテル・パーティーで、某日銀高官が壇上に立ちスピーチしたときのことだ。「我々中央銀行関係者は、金価格を自分たちの通信簿として見ております」と語った。「金融節度が保たれる限りは、国民が代替通貨としての金などを買うこともないはず。金高騰は金融政策不信(筆者注:特に量的緩和の副作用への懸念)を映すわけで、通信簿の評価が低いということを肝に銘じている」という発言趣旨であった。

金融政策の限界そして副作用を、身をもって感じてきたのが、ほかならぬ、「通貨の番人」たち。筆者は「団塊の世代」であるが、リタイアした「通貨の番人」たちが、時折、事務所に退職金の資産運用相談に訪れる。そこで、背筋がヒヤッとするのは、彼らが、「退職金を円で持ちたくない。金を買いたいが、どうすればよいか。」と額に皺よせて沈痛な表情で語りかけてくるときだ。「番人」として守ってきたはずの通貨を、一個人の本音としては持ちたがらぬ。
平たくいえば、輪転機を廻して紙幣を「追加供給」し続けてきた人たちが、「刷れる紙幣」より「刷れない金」を選好する現象。なんともやりきれぬ。

さて、スペイン行き直前になって、「イベリア航空、パイロット・ストライキ」の情報が飛び込んできた。
またかよ~~~。前回はフランクフルト空港の職員ストで延期になったのに。
しょうがない、パリ経由なのだが、まずギリシャのほうに廻ろう。
まったく、最近の欧州出張は直前まで何があるか分からん。
なお、GW中は、ブログ更新が事務的に出来ないので、ツイッターjefftoshimaで現地から呟きます。5月6日のギリシャ、フランス総選挙まで現地に滞在します。

2012年