豊島逸夫の手帖

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ユーロ安で買われ、ユーロ高でも買われ

2012年1月24日

ギリシャ債務削減交渉進展の見通しをキッカケに、ユーロを売りまくってきた投機筋の買い戻しが入り、ユーロは、1.30(ユーロ/ドル)まで反騰。ユーロ・ショート(空売り筋)は、欧州債務危機に関する良い材料が怖い。神経質に反応する。
金価格は、欧州債務危機悪化=ユーロ安(ドル高)で「安全資産」として買われ、ユーロ高に転じると、ドル安=ドルの代替通貨として買われる。どっちに転んでも金は買い。
その背景には、EUの対イラン原油輸入禁止措置など、ホルムズ海峡を巡る地政学的要因も効いている。昨日本欄で述べた、FOMCの政策金利見通しも気になる。
NY金先物市場でも投機筋の買いが漸増中なので、ドル安でもドル高でもとにかく買いという、かなり投機的な匂いも漂う。
なお、ユーロに関しては、3月20日のギリシャ国債大量償還までは、不安要因を抱えたまま、再び売られやすい地合いだ。ギリシャ・デフォルトの「噂」で金買い。ニュースで売りの動きも見られる。
しかも、ギリシャの次は、国債の格付けが「投機的水準」とされるポルトガルが控える。同国高官が「うちも債務削減50%以上」などと口走るだけで、マーケットは動揺するだろう。
さて、今日から欧州出張。雪で成田に辿りつけるかな・・・。
ロンドン経由で、まずはリスボンへ。ポルトガル経済の実態が気になる。中産階級の市民生活などを通じて、ポルトガル国民の視点で見てみたいと思う。外から見るだけの一般報道では、なかなか掴みにくいところだから。
なお、ホルムズ海峡に関しては、これまでの経緯を昨日発売の日経マネー連載コラム「豊島逸夫の世界経済の深層真理」に詳述した。感想、リクエストなども、綴じ込み葉書でお寄せいただきたい。

2012年