豊島逸夫の手帖

Page1147

ギリシャと金

2012年2月10日

欧州債務危機という材料は金市場にとって実に扱いにくい。昨晩のようなギリシャ問題に進展が見られた場合に、危機後退=リスク・オン=リスク資産としての金は買い、ともなるし、かと思えば、危機後退=安全資産としての金買い鎮静化で金は売りともなる。どちらを取るかは、その時点でのマーケットが買いたがっているが、売りたがっているかで決まる。市場の都合次第というわけだ。
そこで、現時点で市場は買いたがっているのか、売りたがっているのか、を問えば、答えは米国金融政策次第。今の状況では、「FRBゼロ金利2014年末まで継続」の買い材料が未だ効いている。
従って、昨晩は、ギリシャ緊縮策合意の報で金はリスク資産として買われ、その後、EU側の最終結論、来週へ持越しの報で売られた。
(ギリシャ問題の最新については日経電子版「金つぶ」に「ギリシャ攻防、ようやく6回表へ」で詳述)

なお、筆者の注目点はワイルド・カードともいえる中国。
1月消費者物価が予想外の上昇。ここのところ6%台から4%台にまで徐々に下げ基調だっただけに4.5%へ再上昇というのは金融当局=中国人民銀行にとって、なんとも悩ましい成り行きであろう。
ここまでインフレ鎮静化基調ということで引き締めに軸足を移していた矢先ゆえ、これまで以上に微妙な綱渡りを強いられる。金融引き締めか緩和か。物価も気になるし成長も気になるし。特に経済成長に関しては、IMFが「欧州債務危機が最悪の状況になれば4%台にまで落ち込む可能性も」という物騒な予測を出したばかり。
単純に考えれば、経済成長は減速、物価は上昇=スタグフレーションということになる。仮にそうなると、スタグフレーションというのはlose-loseどっちに転んでも負けのシナリオで、政策対応も最も難しい。

さーて、週末は日本だからスキー♪
小学校の時の遠足前夜みたいにワクワクしてしまうのだ。
寝不足で滑ると骨折事故につながりやすいので、十分寝ておくには、今夜のNY市場がおとなしくしてくれることが条件(笑)。
再来週からまた欧州出張だけど大雪で大丈夫かなぁ。。。

世界の天気予報を見ればリスボンは相変わらず晴天で12度。気候は天国だ。すっかりポルトガル・ファンになった。筆者の友人も早速ポルトガル10日間のツアーに行った。
写真は世界遺産ベレンの塔とジェロニモ修道院。18世紀に起こった震度9のリスボン大地震でも唯一倒壊しなかったという建物。

1147a.jpg1147b.jpg

2012年