豊島逸夫の手帖

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カリフォルニアで3連続破たん

2012年7月12日

ロサンジェルス郊外のサンバーナディーノ市(人口21万人)が、7月10日に米連邦破産法九条の適用申請を決定した。7月2日には同州マンモスレーク町(人口8千人のスキーリゾート)、6月28日にはストックトン市(サンフランシスコ郊外、人口30万人)と、同州内で3連続地方自治体破たんの連鎖現象が起きたことになる。
背景には、例によって、放漫財政、デリバティブ運用失敗などがある。
カリフォルニアらしいエピソードとしては、海水浴場で、市が雇用する地方公務員ライフセーバーが「サングラス手当」と称して特別手当をもらっていた、という例がある。「事業仕分け」にかけたら様々な議論が出そうな話だ。
サンバーナディーノの名前は地方自治体の金融取引による損失の話でしばしば例に挙げられてきた。ちなみに同市は、マクドナルド・ハンバーガー発祥の地でもある。

今回の3連続地方自治体破たんで、改めて見直されてきた人物が、メレディス・ウイットニーというカリスマ女性金融アナリスト。2010年12月のことだが、彼女が「60 Minutes」という人気テレビ番組に出演。「2011年には、米国地方自治体破たんが50-100件起こり、損失は1000億ドルを超す」と爆弾発言した。Municipal(地方の)の略語であるMuniは地方債の代名詞だが、その市場規模は3.7兆ドルに達する。一般個人投資家が、所謂「安全資産」として長期保有してきたので、そのテレビ番組放映直後には地方債の売却ラッシュが一時的に見られたほど。しかし、直ぐに、金融業界からは、「非現実的な数字」と非難の嵐を浴びた。実際に2011年の地方自治体破たん件数も28件にとどまった。
その彼女が、ここにきて、再び注目され始めたのだ。
未だ、市場に特に反応は見られないが、ギリシャ危機の連想で、投資家が無視できない現象となりつつある。

2012年