豊島逸夫の手帖

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中国二人っ子政策へ転換の兆し

2012年11月29日

「子供二人がこれからの傾向のようだ」
北京大学社会学教授が中国紙チャイナ・デイリーで語った予測だ。
「来年にも政府は何らかの政策実行に踏み切るだろう。高齢化傾向などを考慮すれば、この変化は不可避だ。但し、それが一部地域でのテスト・プロジェクトになるか、全国一斉実施となるかは分からない。それでも出生率が今後20年間に2に戻ることはあるまい(現状は1.7程度)」と述べている。
更に、国家人口・家族計画委員会の元トップの人物の「家族計画政策の変更が考慮中で、アクション・プランも提出済み」との発言も引用されている。
具体的には、「両親とも一人っ子の家庭に限り、第二子が許される」現状から、「親のどちらかが一人っ子でなくても、第二子が許可される」という方針変更のようだ。
なお、「都市部への移住自由化や新生児の健康維持問題も重要」とも付け加えられている。
輸出依存型から内需主導型への経済構造転換が中国経済にとって最重要課題の一つだ。しかし、高齢化に伴う年金・医療制度不備の問題など「将来への不安」が個人消費を抑制してきた。なにせ、大病院の診察予約券がプラチナ・チケットとして市中で売買されるような実態である。筆者の30-40代の中国人友人たちも、「年金などアテにならない」と嘆く。
一人っ子政策の見直しは、内需主導型経済実現のためには避けられない問題であろう。

さて、金価格は1750ドル台まで急騰後、昨晩は1704ドルまで売り込まれ、結局1710ドル台で引けた。
先週中東滞在中も、新興国金現物流通の中継基地であるドバイでは1700ドル台での需給がかなり緩んでいた。特に、インドの需要は、経済減速とともにmassive=非常に悪いとのこと。しかし、ルピー相場次第だが、1600ドル台では底堅い需要が確認されている。今年も新産金2800トン程度の50% 以上をインド・中国が買い占める状況に変わりはない。
1700ドル台の展開は、長期保有の現物主導ではなく、短期売買の先物主導ゆえ、ボラティリティーが高い状況が続きそうだ。しかし、先述の如く、下値を中国・インドが支える構造に変化はなく、大崩れはなさそう。

2012年