豊島逸夫の手帖

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日本株 メルトダウンからメルトアップへ?

2012年2月17日

最近、欧米市場関係者と話していると、メルトアップという単語を耳にする。一時は、メルトダウンが懸念された米ドルや日本株だが、逆転の発想で、メルトアップだってあるのではないかと語られる。

メルトアップとは、ある資産クラスに突然投資家が殺到し、想定外で劇的な投資パフォーマンスの改善が生じる現象を指す。

似た考えに、ポジティブなブラックスワンもある。ブラックスワンとは、従来からの経験や認識では予想できない現象のことで、主として100年に一度と言われるリーマンショックのようなネガティブな経済危機のことを意味する。然し、ポジティブなブラックスワンだってあり得るのではないか、とする逆転の発想もあるのだ。

例えば、インターネット革命。90年代には想像も出来なかった現象が、今や世界の人たちの生活まで変えている。

ハリーポッターの出現などもこの範疇に入るかもしれないが、通常は革命的な技術革新などが念頭に置かれているようだ。


金投資を正当化する理由として、テールリスクのヘッジということがしばしば語られる。テールリスクとは、発生確率は低いが、生じると大きな損失のことだ。100年に一度と言われるような経済危機に備え、「有事に強い金」をポートフォリオに組み込んでおくという考えである。

そこで、逆転の発想として、100年に一度の「突然の噴火」に備え、「休火山状態の資産クラス」をポートフォリオに組み込んでおくことにも意味があるのではないか。

10年前に金価格は250ドル。グラム900円台まで売り込まれた。90年代は金相場の休火山状態が続き、「有事の金の輝きは失せた」と言われたものだ。当時、10年後に世界の投資家が殺到して、1700ドルとか4500円にまで相場が反騰するという可能性は、まさにポジティブなブラックスワンであった。そんな数々の金相場の修羅場を潜り抜けてきたプロゆえに、個人的な資産運用になると、今は日本株にも食指が動くのだ。

何が起こるか分からない時代である。

2012年