豊島逸夫の手帖

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もしFRB ゼロ金利2014年まで継続となれば

2012年1月23日

今週欧米市場の最大の関心事は、FRB(米連邦準備委員会)が24~25日に開催するFOMC(米連邦公開市場委員会)。今回から政策金利見通しを初めて公表するからだ。
そこで「有事対応」のゼロ金利がいつまで続くか、マーケットは知ることになる。
これまでFRBは、2013年半ばまでゼロ金利継続のスタンスを明確にしてきたが、これが2014年以降にずれ込みそう、という見方が急浮上している。足元の米国マクロ経済データは改善傾向が顕著なるも、欧州債務危機の伝染、更に、ホルムズ海峡緊張による原油急騰の可能性など不安定要素も強く残るからだ。
そうなると、ゼロ金利長期化は、頭の重い株式、商品市場にとっては、まさに干天の慈雨。
マーケットを先読みする金価格は、既にこのシナリオを織り込んで反騰している。(逆に、2014年など具体的時期の明示がなければ、失望売りが出るかもしれない。)そもそも、FRBの2013年半ばまでゼロ金利継続スタンスが、金価格2012年高値圏維持説に実質的お墨付きを与えてきた事情もある。金は金利を産まないことが最大のウイーク・ポイントなので、ゼロ金利ゆえ買われてきた面が強いからだ。

さて、今週は、中国の春節でアジア市場は閑散であるが、新興国経済は、既に金融緩和傾向が鮮明。更に、ECB(欧州中央銀行)も、3年間年率1%で無制限の銀行向け融資を実行しており、更に、利下げ、そして欧州版QE1(量的緩和第一弾)も視野に入る。

中国経済減速やギリシャ・デフォルトなどの可能性がちらつき、リスク回避志向の強い市場の地合いではあるが、そのリスク要因に対する政策対応としての世界的金融緩和が、マーケットのセンチメントにはプラスに作用すると、株、商品同時上昇シナリオとなる。資産インフレの匂いもプンプンするが、凍りついた投資マネーには、解凍効果があろう。

先週出張したシンガポールは、今や世界の富裕層マネーが集まるアジアの拠点となりつつある。そこで見たものは、異常なキャッシュ・ポジションの滞留。要は投資マインドが萎縮しているわけだが、そうはいっても名目ドル・ゼロ金利、現地経済は実質金利マイナスの状況ゆえ、ジッとしてはおれないムズムズ感が漂っていた。
対談相手の在シンガポール著名投資家ジム・ロジャーズ氏は、新たな投資先として、ミャンマーと北朝鮮を挙げていた。北朝鮮と言われ、筆者も思わずとエッ!!と反応してしまったが、先読みマネーは、冷徹に新分野に切り込んでいることを実感した次第。
筆者は、明日から、アテネ、マドリッド、リスボンへ出張である。PIGSの現地の空気を吸うことで、ユーロが本当に崩壊するのか、探ってみたいと思っている。

2012年