豊島逸夫の手帖

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雇用統計好調で金急落

2012年2月6日

金市場は、FRBが2014年終盤まで超低金利継続という中期的材料で上昇した後、先週金曜の米雇用統計が予想を上回る良い数字で売り込まれた。米経済好転基調が本格化すると、QE3は遠のくし、超低金利からの出口も2014年より早まるかもしれぬ。
とはいえ、FRBの金融政策スタンスが、それほど大きく振れることも考えにくい。
2014年終盤という見通しは変えないと思うが、マーケットの材料として見ると、毎日、2014年終盤までゼロ金利だから買いという単純な展開など考えられぬ。中期的材料は早晩、陳腐化して飽きられる。
ここまでは、欧州債務危機より米国経済のほうが金市場の材料として優勢であったが、今週はギリシャ債務削減交渉土壇場など、再び、米国から欧州へマーケットのフォーカスがシフトする兆候が感じられる。米国雇用統計好調はリセッション不可避の欧州経済とのデカプリング(非連動)を強く印象づけた。中国も春節休暇モードからボチボチ社会復帰してくる。
ギリシャ問題の最新に関しては、本日の日経電子版のほうに詳述した。

さて、10日間の欧州出張から先週金曜朝に戻り、久しぶりのスキーに行き発散♪。今週、来週と日本に居るが、その後は、再び欧州出張。今度はスペイン、イタリアなど大きなほうの国々。

やはり、今回の欧州出張は収穫大であった。
外から見るだけで論じるだけの薄っぺらい議論が虚しく映る。
首相、財務大臣など高官発言中心の情報は、あくまで大本営発表。でも結局、最後は国民の選択だ。そこでは民意が決定要因となる。市民がどういう生活を強いられ、どう感じているか。ここが通常の報道ではなかなか伝わってこない。
実は、筆者が独立の道を選択した最大の理由が、世界のニュースの現場に自分の判断で行き、この目で確かめる自由を得ることであった。「虫の目」も大切にしたいという思いである。
4月以降は、米国大統領選挙など米国出張も予定している。
今は、欧米行き航空券も数万円。宿泊費も東横インより安い。自由があればいつでも行ける。
筆者の年間ダイアリーも、ところどころ週間単位で何も入れない期間をブロックしている。
食べるほうは、ポルトガルで食べた蛸のオリーブとのグリルが、シンプルで絶品だった。破たん寸前国家でも、ミシュランの星を追わず、こういうシンプル・ライフで暮らしてゆけるという例でもあった。

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2012年