豊島逸夫の手帖

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QE∞

2012年9月21日

昨晩は、FRB理事たちのQE関連発言が目立った。
失業率が5.5%に下がるまでQE(量的緩和)を続けるべしという発言もあった。
今回の追加的量的緩和の特徴は、失業率が持続的に下がるまで「無期限」に続ける、という点が最大の特徴だ。従って、筆者は、もはやQE3などという表現は使わず、これはQE∞だと述べている。
失業率が5.5%に下がるまで続けるということは、「通貨価値の希薄化」が続き、相対的に金の価値は高まることになる。ということは、失業率が6%に下がるあたりから、金の価格も下がり始めるとも読めるだろう。その時期は、今のFRBの米国経済見通しをベースにすれば、2015年ということになろうか。
しかし、金市場は常に先読み、先取りで動くから、実際には2014年くらいから、FOMCで使われる表現のニュアンスには注意しなさい、と金保有者には説いている。
昨日の日経新聞朝刊記事で筆者の「2000ドルも」というコメントがあったので、セミナー参加者から「あれ、今年は2000ドル無しと言ってましたよね」と聞かれたが、記事中にもあるように中長期の話だからね。2014年までには2000ドルという観測は、専門家の間ではかなり慎重な見方ではある。

なお、釘をさしておくが、短期的には欧州発リスクオフで再び売り込まれ1600ドルを割り込む局面も未だあると思う。
しかし、大崩れして、そのまま長期下降トレンドに転じるというようなシナリオは、どう見ても、考えられぬ。それほどに世界経済に楽観的にはなれない。それでも、金を持っている人たちには心配性が多く、セミナーでも、まず出る質問が「いつ下がるか」である。そこで「今年から来年は大丈夫。心配する暇があるなら、人生を楽しみましょ!」と答えている。もし資産運用で心配するなら、国債や株のほうが遥かに「心配」だ。心配するにもエネルギーがいるから、効率的に使いましょうね。(笑)

さて、筆者の頭の中は既にスキー・モード。社会人のスキーの最大のリスクは骨折だから、夏も終わると、2013年冬季シーズンに向けた自主トレ開始である。特に股関節のストレッチは欠かせない。滑走中にボーダーが横からスーッと入ってきたときに瞬間的に避けるには柔軟性が絶対に必要となる。そして同じウオーキングでも常に足裏感覚を感じながら歩くようにしている。吹雪で視界が悪いなかで滑るときのセンサーは足裏神経だから。
先週は、毎年スキーセットなど一式を置いているシーズン・ロッカー優先申込書がガーラ湯沢スキー場から届いたので、即、申し込んだ♪スキー板のチューンアップもせねば、という感じ。
中国関連の仕事が領土問題で当分なさそうなので、ワーク・ライフ・バランスを回復するチャンスとも思っている。

それにしても、中国の地方では警察学校生徒が組織的に動員されたとか、ユニクロ上海店がデモ通過中に「尖閣は中国」というポスターを店頭に貼って乱入を防いだとか、色々な情報が乱れ飛んでいるけど、ぶっちゃけ、ちょっぴり中国が嫌いになった。というか、好む好まざるにかかわらず付き合わねばならぬ隣人に「好かん」と感じるようになってしまった。かなりショックだったのは、個人的付き合いのある中国の友人たちの中でも、メールの文言の端々に、これまでになかった冷やかな表現が見られること。個人的友情は全く変わらず憎しみなどは無いが、「一方的に国有化されて国としてバカにされた」という悔しさのようなニュアンスが滲み出ている。過激デモは収束しても、ココロの傷は残った。中国人にも日本人にも。
そして、日本経済のこれまでの「中国依存症」が孕むリスクも改めて感じている。

2012年