豊島逸夫の手帖

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退職貧乏父さんジュニアは貯"金"

2012年10月5日

今や「退職貧乏父さん」という言葉が流行語になる時代。でも、息子や娘の目から見れば、「自分たちは年金貰えない世代」、父さんたちは「年金逃げ切り世代」。
FPは父さんたちに「退職後、夫婦でビジネスクラスで海外旅行」して、大事な老後の蓄えを減らしてしまうことは控えましょう、と説く。けれど、子供たちが老後になったとき、ビジネスクラスで海外旅行など、おそらく夢のまた夢ではないか。所詮「贅沢な悩み」と切り捨てる。

ゴールド・セミナーに、父さん世代とジュニア世代の両方が参加する時代だが、切迫感が違う。
父さん世代は、既にストックとして貯金などを抱え、その運用先に悩んでいる。対して、ジュニア世代は、貯金もろくにない。これから日本経済は益々厳しくなりそう。自分たちが老後になったとき、どれだけの蓄えを持てるのか、見当もつかない。政府も年金もアテに出来ず、自衛するしかない。
とはいえ、ジュニア世代の老後は、まだ30-40年先のこと。カネの余裕はなくても、時間の余裕は未だある。そこで、まず資産運用の選択肢を色々勉強してみよう。「金」もアリかな。でもなんか「怪しい」。とりあえず勉強だけでもしておくか。こんな感じでセミナーに参加しているのが実態だ。
そこで、講師の話を聞いてみれば、短期的に価格が変動して読みにくい。利息も配当金も産まない。どう見ても、資産運用の主役とは言い難い。だけど、この10年で円高にもかかわらず4倍以上に値上がりしているのはなぜか。リーマンショックや欧州債務危機などの「経済有事」に値が上がる傾向があるからだ。自分たちの老後までに世界経済に何が起きるか想像も出来ないので、「有事の備え」で今のうちからコツコツ月3000円程度から金の積み立てでも始めてみるか。
これが筆者がセミナー会場で実際に見てきたジュニア世代のリアクションである。
「金といえば先物などの投機」と考えがちな父さん世代と発想が異なる。ジュニアのほうが、よほど堅実である。
ひたすらリターンを追ってきた世代と、常にリスクに晒されてきた世代の発想の違いであろうか。
父さん世代は「金投資」。ジュニアは「金を貯える」という感覚だ。

そのジュニア世代でも特に女性の方が真剣である。氷河期世代の赤ちゃん連れ夫婦がセミナーに参加するとき、泣く赤ちゃんをロビーであやす係は、まず「イクメン」である。ママが会場内でセッセと講義内容をメモっているのだ。
今の社会の断面図をセミナー会場で感じる。

なお、本日のヤフー経済面と毎日新聞朝刊に筆者の丸の内オアゾでの出版記念セミナーの模様が写真入りで紹介されている。
「<金投資>若い世代に人気 年金不安に安全志向反映」という見出し。

http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/economy/gold/?1349353867

或いは
www.yahoo.co.jp → 経済

2012年