豊島逸夫の手帖

  1. TOP
  2. 豊島逸夫の手帖
  3. バックナンバー
  4. 日本のおかずが減る日
Page1260

日本のおかずが減る日

2012年9月11日

竹島問題で緊張激化の日韓関係だが、その韓国は「有事の金」を実践したユニークな国として金市場では知られる。
アジア経済危機の折り、極端な外貨不足に見舞われた韓国政府は、国民に金製品の供出を募った。供出といっても召し上げるわけではなく、ウオンと交換したわけだ。愛国心の強い国民性ゆえ、集まった金の量が200トンを超えた。世界の年間金生産量が2800トンの世界ゆえ、かなりの量である。それを売却して米ドルを調達して、外貨不足を補うことができた。

よく、有事の金は買いなどと言われるが、本来、金は平時に買い増し、有事に売って凌ぐものだ。韓国はそれを実践した稀有な国である。
それゆえ、近年膨張した外貨準備の一部で金を買い始めている。昨年は30トンほど買ったことがIMF統計で確認されている。
ちなみに、新大久保イケメン通りのハンド・マッサージ店で働くコリアン・ボーイズを取材した際に、アジア経済危機の経験談を話してくれた。その中で印象深かった言葉が、国がIMFの管理下に入ったとき、「うちのおかずが減った」の一言。
日本はグルメブームでサラリーマンまでがミシュランの星を追う。しかし、アジアを歩けば、日本の生活水準が突出していることを痛感する。そんな贅沢がいつまで続くのだろうか。いつも話すように、筆者の知り合いの中でも、国家財政を知り尽くしている元経済官僚(元通貨の番人たち)が、退職金で金を買いたがる。円は持ちたがらない。そういう国に、おかずが減る日が来るのはいつのことか。

PIGS諸国を旅して、ギリシャでは、明日のおかずに事欠く市民が増えつつあることを実感した。その一方で、アイルランドでは、一時減ったおかずが、また少しながら増え始めていた。
日本は、おそらくギリシャに近い瀬戸際の状況に追い込まれ、そこで初めて国民が団結して「がんばろうニッポン」と経済復興の道を歩み始めるのだろう。アイルランドの現地で、その自信を深めた。
まずは修羅場を凌ぐ現金。ゴールドでモノは買えない。ゴールドは食べられない。金の役割は蓄えの実質価値を保全することにある。有事に備え、平時から堅実に買い増してゆくことが王道である。

以上、新著「金読本」日経ムックからの抜粋です。
既に、色々な感想が来てますが、若手には、この新大久保で撮った写真のあるキャリア・エッセイ「私が30代に外資への就職を勧めない理由」が一番反響あるようです。(金には直接関係ないけどね。)実は、私も写真はこれが素の自分なので一番気に入ってます。笑

1260.jpgツイッターではムック関連で女子の呟きが多い。グローバル・ママさんから独立系アラサー株式アナリスト、そしてレースクイーンまで。9月26日の丸善オアゾセミナーも、男性女性半々くらいの華やかなセミナーになりそう。祖父と孫連れもいます。本購買に入場券がついてくるのですが、電話で予約も可。
丸善丸の内本店 和書グループ  03-5288-8881

それから日経ウーマン・オンラインで連載始めました。
http://wol.nikkeibp.co.jp/

トップページ→スキルアップ→マネーへゆくと
「年金不安のコツコツ女子 貯金から貯"金"講座」

2012年