2012年11月5日
現地紙は「ありえないカップル」と書いた。
オバマ大統領がニュージャージーのハリケーン被災地を視察・激励に訪れたときの同州知事クリス・クリスティー氏(共和党)の「熱烈歓迎」ぶりが話題になっているのだ。
同知事は、共和党大会では基調演説役を果たし、2週間前のロムニー候補支援大会では、オバマ候補を「blindly=あてもなくホワイトハウス内をさまよっている」と酷評。
それが、オバマ大統領の被災地訪問時には、「熱い握手」を交わし、「大統領の迅速な対応に私からは称賛あるのみ。我が州への大統領の応援には感謝しきれない」とぶちあげた。
被災地を代表する立場として、天災などの緊急時には「選挙戦」は一時休戦が当然の対応だ。しかし、それまで強い表現で大統領を批判していただけに、その変身ぶりが際立つ。「大統領選挙1週間前にそこまで現職を持ち上げなくても」というのが共和党内の本音だろう。クリスティー氏は2016年大統領選挙共和党候補者にも名前があがる党の有力者ゆえ、「2012年大統領選挙を捨て、ここで名を上げて、自ら2016年に賭ける気か」という深読みさえも流れる。
一般的に「天災は現職有利」と言われるが、ハリケーン後3日間選挙戦を中断して被災地対応に当たったオバマ氏は、現職の強みで、広範囲のメディア露出を得た。その間のロムニー氏はどうみても影が薄かった。ハリケーン・サンディの大統領選挙への影響に限っては、オバマ氏にとって「神風が吹いた」ことは否定できまい。
そして、2日金曜日には、「米国雇用統計予想外の好転」という、もうひとつの神風がオバマ陣営に味方した。
雇用が主要テーマの僅差を争う大統領選挙において、直前の米雇用データが「良」と出たことは、充分に浮動票層を動かすキッカケとなりうる。
「そうはいっても失業率は歴史的高水準」との議論も根強いが、候補者討論会での立ち回りで一挙に流れが変わることを見せつけられた後だけに、短期的センチメント(雰囲気)の重要性も痛感せざるを得ない。
なお、マーケットは大統領選挙よりQEを材料視している。大統領選挙の結果はどちらに転んでも、「材料の消化」に数か月はかかる。日々の短期的「材料」としては大きすぎるのだ。
対して、雇用統計など一連の米国経済指標好転の兆しはQE後退示唆と解釈され、NY株や円そして金には短期的売り材料となりがちな地合いだ。特に金は雇用統計後2%以上の急落を見せた。改めて「QE依存症」が際立つ反応であった。
円に関しては、日銀の追加緩和で、欧米市場に於いて日本円の「通貨の堕落」的な受け止め方がジワリ台頭してきた。欧米FXでも、対円でドル・ユーロ買いの手口が目立つ。自国通貨の堕落が日本株を支えるという現象。皮肉な巡り合わせではある。
日経土曜日別刷りプラスワン9面に「金積立の勘所」に関する大き目の記事が出ています。
さ~て、11月だ~。今月は香港でのLBMA金国際会議とかドバイ出張とか気忙しい。でも、京都に紅葉&ゴルフ&京料理にも行くのだ~。東京にいるとほんまもんのワラビもちになかなかお目にかかれないし。