2012年7月20日
金の悪徳商法に異変が生じている。被害者像が「寂しい一人暮らしの老人」から「地元の名士」に移りつつあるのだ。
最近、県警の方々が時折「金のレクチャーをお願いしたい」と訪問してくる。聞けば、「悪徳商法の業者の金融リテラシーが向上して、知能犯的手口が目立つので、捜査側も勉強せねば」ということらしい。
実際の例として見せられた書類が、悪徳商法の入会申請書類。これが、証券会社の口座開設時の書式に酷似して作られている。そのような紛らわしい書式を見せられると、既に証券口座開設経験ある人のほうが、「ああ、これならxx証券と同じだ」と信用してしまうらしい。金融知識も投資経験もない高齢者のほうが、「難解で怪しい」と即拒否反応を示すから被害に遭うこともない。
しかも、その書式に記された会社名がxxxグローバル・マネジメントと大手アセット・マネジメント会社に似た名称が使われている。
そこで、「地元の名士」とされる学校の先生や教育委員会関係者、県議会議員、医師、特定郵便局長、地元財界の名士などに被害が集中しているのだという。しかし、地元では「先生」と呼ばれ、一目置かれる存在ゆえ、被害届けも滅多に出ないらしい。
商品名も、昨年は「ロコ・ロンドン」商法が新聞の社会面を賑わせたが、そもそも「ロコ・ロンドン」とはプロのトレーダーがオファー・ビッドを提示するときに使う専門用語で、世界標準の「ロンドン市場渡し」という意味なのだ。
それが、今や、プロが何気なく「ロコ・ロンドン価格の見通しは・・・」と語り始めると、悪徳業者まがいと訝られる始末だ。
近年は、投資家がネット検索で金投資の知識を得るケースが多いが、ここでも注意が必要なことは、検索サイトで「関連情報」として、大手の業者も怪しい業者も同列に名前が並んでいることである。
投資は自己責任ゆえ、業者の広告は信用せず、自らキーワードで検索して情報を収集して、投資判断をすることは、至極健全な行為だ。しかし、「検索の罠」にも注意を喚起しておきたい。
悪徳業者は紛らわしい商品名や会社名を使っている。
さて、日曜日にグローバル・ママ・ネットワークで講演したが、今週は財務省職員研修会に招へいされ講演してきた。これまで日銀、金融庁と金の勉強会に招かれてきたが、公的機関でも金に対する認識が高まっているようだ。