2012年11月7日
7日アジア時間で、オバマ勝利が確定。
金価格は、米国のQE3継続観測が強まる中でドル安を見込み、6日のニューヨーク市場での上げを引き継ぐカタチで1720ドル台まで続騰している。
選挙前、オバマ・ロムニー接戦が伝えられた時点では、共和党政権の場合のQE3停止観測で、金が1670ドル台まで売り込まれる局面もあった。2日発表の米国雇用統計の予想外の好転も、QE3早期終了観測に拍車をかけていた。
しかし、オバマ勝利確定で、潮目が変わった。QE3の推進役バーナンキ氏の去就問題も、少なくても2014年1月の任期まで留任が確実視される。
マーケット全体として見ても、リスクオンの状況となりそうだ。
米国企業の保有するキャッシュ・ポジションは1.7兆ドルに達するといわれる。大統領選挙を控え市場が不透明ゆえ、リスク回避のまま滞留してきた。
そして迎えた大統領選挙当日、6日のニューヨーク市場。24時間後には市場の方向性も明らかになるという時点で、スタート台に並んでいたリスクマネーが、フライング気味に飛び込み始めていた。
株も金・原油など商品も総上げ状態。
運用サイドの競争は厳しい。ライバルに先んじて動かねば、投資の果実ももっていかれる。フライングも止むなし、と一社が飛び込めば、他社も追随する傾向は米国とて同じことだ。
かくして、リスクマネーは6日の時点で既に一斉に動き始め、リスクオン状態となっていた。
今年は運用各社が投資パフォーマンス低迷のまま、はや11月を迎えている。今月は多くのヘッジファンドの決算期でもある。オバマ勝利のリスクオンのモメンタム(勢い)に乗って、米国版「掉尾の一振」を目論むかの様相だ。
なお、金価格急騰は、大統領選挙日に市場が投じる米ドルへの不信任投票ともいえる。中期的には「財政の崖」問題に解決のロードマップが見えてこないと、ドル安、金高が更に加速しそうだ。