豊島逸夫の手帖

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今晩BSジャパンで1時間ゴールドトーク

2012年7月30日

筆者もいろいろなテレビ番組に出演して語ってきたが、1時間番組のほとんどが「金のトーク」という番組出演は初めてである。普通はビデオ出演で、カメラの前で1時間喋って、放映されるのは数秒から数十秒の世界だからね。BSジャパン(日本中どこでも視聴可能な衛星波、テレビ東京系)の午後7時からの「7PM」という番組だ。

さて、米国公開市場委員会(FOMC)とECB理事会が開催される今週は、FRBとECBの次の一手に市場の関心が集中している。
ECBはスペインを想定した支援策で「ユーロを断固守る姿勢」を強調。その具体的追加措置としてスペイン・イタリア国債買い入れがしきりにマーケットでは噂される。これが実行されると欧州版QE1ともなりかねない。しかし、この国債買い取り策には金融政策健全性にこだわるドイツ連銀が断固反対の姿勢を崩さない。そこで、ECBドラギ総裁とドイツ連銀幹部の会合が予定されている。マーケットはその会議の行方にも重大な関心を示す。
なお、ドラギ氏の「ユーロ死守発言」に対して、仏オランド大統領と独メルケル首相(休暇中)も電話会議でドラギ発言に「激しく合意」。LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)騒動の渦中にある米ガイトナー財務長官までが乗り出し、夏季休暇中の独財務相ショイベレ氏を滞在先のリゾートに今日欧州時間午後に訪問して会談。同日すぐにフランクフルトに飛び、ドラギ氏を訪ねる予定だ。
そうそうたるドラギ応援団(というかドラギECB頼み)のメンツに、マーケットでは、ECB国債買い取りを既に織り込みつつある。
従って、サプライズ・シナリオとしては、ECB理事会が、この期待に答えぬ場合の失望売りのほうが懸念される。
対して、FRBは米国債とMBS(住宅ローン担保債券)買い入れの第三弾を実施するか。大方の「識者」の見方は、QE3というエースカード温存シナリオに収れんしている。連邦債務上限法ギリギリまで公的債務が膨張した今、財政政策は有効な手立てが見つからぬ「財政の崖っぷち」状態。頼りはバーナンキ氏の「QE3」の一言だ。"有事の金"ならぬ"有事のQE3"は最後の切り札ゆえ、おいそれとは切れぬ。
しかし、「識者」の見方を無視して、マーケットは「前祝」で盛り上がっている。特に、先週は、米国有力紙が相次いで「翌週FOMCでいよいよQE3の可能性」を書きたてたので、市場はすっかりその気になっている。「先読み」で動く金市場などは、QE3前夜祭ムードで1600ドルの大台を回復。先週金曜日には一か月ぶりの高値1628.6ドルをつけた。ほとんど「QE依存症」の症状である。
従って、こちらもネガティブ・サプライズ。つまり、FOMC声明やバーナンキ記者会見でQEへの具体的言及なしの場合の失望売りが懸念される。
タイミングとしては、米国雇用統計発表直前でのFOMCなので、大きな決断がしにくい状況ではあろう。QE3発表直後に、米国雇用統計大幅改善では、バツも悪かろう。 筆者は、マーケットの先走りが気になる。

2012年