豊島逸夫の手帖

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JPモルガン巨額損失公表

2012年5月11日

本稿執筆時点(日本時間朝6時)に、JPモルガンチェースが、本年3月末時点で社内部門のチーフ・インベストメント・オフィスが42億ドルの損失を出すことを「reasonably possible (合理的可能性あり)」と、ダイモンCEOが電話会議で発表。同部門は「リスク管理として預金の一部の金利リスクなどをヘッジ売買する」役割を持つ。平たく言うと行内のヘッジファンドのような存在で、実質的に自己勘定取引と見做されるような売買に従事していた。当該四半期に、マーケットのボラティリティー(価格変動率)が高まった影響で10億ドルの損失が生じているとも言う。
「売買の実行がpoor(プアー)で、社内モニタリング(監視)もpoorで充分に機能していなかった。」と述べ、社内検査部門が社内ポートフォリオのリストラクチャリングに乗り出していると言う。
執筆時点でも続いているコンファレンスコールで、ダイモンCEOが質問攻めに会っている。
本件は、米国主要経済紙の通報から発覚したという。
時間外の同社株価は40.74ドルから38.90ドルまで急落中だ。
現在のマーケットのリスク回避を更に加速させるような出来事ではある。今回の一件は、銀行の自己勘定売買の規制に直接関わる事態であり、リスク管理の適正な実行が改めて問われることになろう。
更に、ボルカールール積極派から見れば、「それ見たことか」と言われかねないタイミングでもあり、金融規制論議にも大きな影響を与えそうだ。株、債券、商品のマーケットもリスクにより厳しく対処することになろう。

2012年