2012年11月15日
日本時間15日朝6時過ぎに発表になったソロス・ファンド・マネジメントのSEC(証券取引委員会)への四半期運用銘柄情報開示(通称13F)によると、金ETF保有残高が2012年9月末時点で前期比51%増加していることが確認された。二期連続の大幅増である。
2012年 3月末 0.9トン
2012年 6月末 2.7トン
2012年 9月末 4.1トン*
*米ドル換算では 227,135,000ドル
年間の金生産量が2822トン(2011年)なので、4.1トンという量は金価格に直接影響を与えるような数字ではない。しかし、カリスマ・ファンドの金買いという意味で心理的影響は無視できない。更に、その心理的影響を利用するプロの手口も見られるので、注意が必要だ。
ソロス氏は2011年2月のダボス会議で「金はバブル」と
明言。その時期の13Fによると、2010年12月末の14.6トンが2011年3月末には0.1トンとほぼ全量を売却したことが確認されている。
しかし、今年に入り、徐々に買い直しているわけだ。
ヘッジファンドとしては最大の金ETFを保有しているポールソン&カンパニーも昨年後半に売却を開始したが、2012年4-6月期に再び買いに転じている。(なお、同ファンドの最新13Fは現時点で未だ出ていない。)
更に、大手ヘッジファンドのレイ・ダルド氏は「金買い」をメディアを通じて推奨している。
ピムコの債券王といわれるビル・グロス氏も自らのツイッターで「buy gold 金を買え」とストレートに呟き、注目されている。
総じて、米国のQEが加速するなかで、ドル価値の希薄化が進行し、「刷れるドル、刷れない金」の違いが再認識されているようだ。
なお、明日にかけてポールソンの売買状況も発表されるので、ツイッターで速報は伝える。
それから、昨日注目されたフェイスブック株の解禁売りは市場の買いに吸収され、最大の試練を乗り越えた安心感から、株価は12%上昇している。これから、五月雨式に売りが出ると懸念する声もあるが、総じて浮動株主の売りは一巡した感じだ。フェイスブックの夢に賭けて長期保有する投資家が残った。
市場には色々気になる情報が他にも多いね。
イスラエルはガザ地区空爆開始、パレスチナ過激派幹部暗殺の噂などで原油は上がっている。(来週はドバイ出張だ。チームジャパンの中東アウエーゲームみたいな仕事。)
ギリシャも綱渡りのデフォルト回避が続く。
中国では人民銀行総裁が辞めて(辞めさせられて)、党の高官名簿からも名前が外れた。これで、あの人はおしまい。次に誰が来るか注目。
そして、日本のサプライズ解散。欧米では安倍首相を織り込み、目標金利3%まで無制限の量的緩和政策などが予想され、円が売られている。いよいよ海外でも日本円の価値希薄化が意識され始めた。
これからクリスマス休暇まで第四コーナー廻って目が離せなくなってきた。