豊島逸夫の手帖

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プラチナ急騰

2012年1月11日

金とプラチナの価格逆転現象が進行して、価格差がこれまでの最大である220ドルに拡大したところで、昨晩は一転、プラチナ価格が50ドル近く急騰した(1460ドル台。)
一言でショート・カバー・ラリー。これまで先安感の強いプラチナをカラ売ってきた投機筋が、下値の値頃感を感じて、一斉に買い手仕舞いを入れた。
投機的売りの手仕舞いなので、これで下げトレンドが転換したとは言い難い。

足元では、欧州発景気後退の波が、産業用素材としてのプラチナの価格の足を引っ張っている。この状況に変わりはない。需給ファンダメンタルズも基本的に供給過剰である。
しかし、長期的には、底値圏を模索中と言える。
日本や中国では安値と見た個人投資家の買いの引き合いが多いが、これは長期的には正解と思う。ただ、忍耐が必要。
プラチナの特徴は、生産が偏在するので、南ア発の供給ショックがたまに勃発すること。大概、一過性なので、そこが吹き値売りのタイミングでもある。

金プラチナの価格逆転は未だ続きそう。「外貨準備」で買われる金と、買われない「産業用素材」のプラチナの差が際立っているからだ。
通貨と商品の二面性を持つ金と、あくまで商品のプラチナの差ともいえる。

なお、プラチナには2200ドルから800ドルにまで暴落した歴史もある。のど元過ぎて熱さ忘れた投機家が多いが、肝に銘じておくべきであろう。
プラチナのチャート。 ↓
http://www.kitco.com/charts/techcharts_platinum.html
過去1年の下げもさることながら、スクロールして5年を見るとこの1年の下げなど可愛いものという感じ。リスク耐性が必要だね。

2012年