豊島逸夫の手帖

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世界的金融緩和と欧州危機のせめぎ合い

2012年1月18日

中国の経済成長率が、2011年10-12月期に前年同期比8.9%上昇。これを、8.9%を維持して底堅いという見方と、遂に、9%の大台を割り込み、懸念されていたハードランディングの確率が高まったという見方の真っ二つに割れている。中国人民銀行にしてみれば、金融政策の微妙なかじ取り加減で、インフレにもデフレにもなりかねない綱渡りを強いられるわけで、さぞ頭の痛いことであろう。当面は、中国金融緩和見通しが優勢である。
昨日は、このニュースがアジア時間に出て、その後、世界を巡り、中国を始め、世界的金融緩和の拡散傾向の顕著化が意識され、マーケットはリスク・オンに。株も商品も上昇。
対して、強力なリスク・オフ要因として、欧州債務危機がある。
マーケットは、この二つの相反する材料の綱引き状態の様相を呈している。
中国経済減速は、金融政策的にはリスク・オンとなるが、実体経済ではバブル破綻の可能性が強まることで、リスク・オフと化すことも考えられる。マーケットは都合の良い解釈を採る傾向があるので、注意が必要だ。

2012年