豊島逸夫の手帖

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バーナンキ・イエレン対談に市場注目

2018年2月27日

本日はパウエル新FRB議長デビュー講演の日。多分、初回は慎重に言葉を選び言質は取らせないと思うが。

とりあえず、お手並み拝見。

それより、講演の後にブルッキングス研究所主催のバーナンキ・イエレン対談が開催される。題して「FEDのデュエット」。こちらの方が面白そうだ。今や同研究所の同僚である前・元FRB議長が、パウエル講演を受けてどのように語るか。市場も興味津々である。自由の身になったイエレン氏を、バーナンキ氏が「インタビュー」するという構成だ。「イエレン氏のキャリア、FRB時代のこと、経済の現状についての見解、今後経済を待ち受ける挑戦」について議論が交わされると「鳴物入り」である。

実は、この2人は2016年4月7日に檀上で語り合っている。ボルカー、グリーンスパン、バーナンキ、イエレンというそうそうたる元前現FRB議長たちがシカゴでのフォーラムで一堂に会したのだ。

その時このようなやりとりがあった。

イエレン氏「バーナンキさん、バランスシート縮小という仕事をやり残しましたよね(笑)。」

バーナンキ氏「あなたが引き継いでくれて助かりました(笑)。」

冗談めかして笑顔で語ったが本音であろう。「バーナンキ前議長はばら撒くだけばら撒き、自分はその後始末」との思いが滲む。

イエレン氏は今や「パウエルさん、金融正常化の道筋はつけましたから、あとはよろしく」との立場であろう。

バーナンキ・イエレン路線を完結させるという仕事は最も難しい。「損な役回り」というのがパウエル氏の本音かもしれない。任命したトランプ大統領の目も光っている。そんなパウエル氏の思いを代弁するのか、激励するのか、忠告するのか、注文つけるのか。

FRB要人発言の行間を読んで反応する市場としては見逃せないイベントである。

なお、今日の朝日新聞に「ビットコインと金」と題して寄稿した↓

http://www.asahi.com/and_M/articles/SDI2018022134921.html

2018年