豊島逸夫の手帖

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漆と金

2018年5月28日

昨日は石川県加賀市の漆器組合で講演してきました。そこのトップの方がこのブログの熱烈なファンで私も意気に感じてお受けした次第。聴衆は漆器の職人さんたちが中心。中には「人間国宝」もいらっしゃいます。何時もの生臭い話では場違いか、何を話したら良いものか迷いましたよ(笑)。漆と金というような演題は、さすがの私も初めてですし。

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漆器、蒔絵の現場視察もしました。深いですね。伝統の重み、美しさに感動しました。金も使われているのですが、単なる金箔と比べると全く異次元の世界です。色々な職人の技術で様々な金含有素材が開発され使われています。こればかりは現場に行って自分の目で見ないことには分からないことだと改めて思いました。

そもそもこの地域は古九谷発祥の地でもあります。

しかし伝統文化の継承は難しくなっています。まずは後継の人材育成でしょう。そのために2年コースとか4年コースで人材育成のプログラムや教育訓練施設のインフラが整備されています。訓練職人の皆さんは使用する工具から自分で作ります。本当のプロですね。とは言え、そこで育成された人材が実際に「食ってゆく」ためには継続的な発注が必要です。理想と現実のギャップも痛感しました。

写真は「骨壺」です。このような美しい器ならお骨をお茶の間に置いておけるという発想です。普通に見たら、まさかその中にお骨が納まっているなどまず想像もしませんよ。これ売れ筋だそうです。

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今回は駆け足で全工程を見ましたが、別途プライベートでじっくり来てみたい場所になりました。近くに温泉もゴルフ場もスキー場もありますし(笑)。カルチャー&スポーツの旅!

2018年