2018年11月28日
トランプ大統領は原油高を嫌い、最近の原油急落に「謝辞」を送った。
とは言え、原油価格が下げ過ぎても困る立場にある。
テキサス・サウスダコタのシェール生産州では失業が発生するリスクがある。2020年の大統領選では大事な票田となるだけに看過できまい。
更にハイイールド債の半分近くはエネルギー関連への投資とされる。原油急落が信用破綻を誘発しかねない。トランプ大統領自ら「株価が政権の経済政策の通信簿。」と語ってきたので、株安要因の芽は摘み取らねばなるまい。
このような状況でブエノスアイレスG20にはプーチン大統領とムハンマド皇太子も出席の予定だ。それぞれ日量生産1100万バレル前後で原油生産世界最大国の座を争う3か国が揃うことになる。
そこで、この3か国で何らかの生産調整が議論される可能性が浮上してきた。
市場では原油生産大国対ヘッジファンドのせめぎ合いが注目されよう。
OPECをはじめ生産者側の内部対立が激化すれば、漁夫の利を得るのはヘッジファンドなどの投機筋だ。
今回の短期間での原油急落局面で原油先物空売りに走ったヘッジファンドは高収益を上げた。ヘッジファンドの原油売りポジションも膨張している。
具体例として「マーチャント・コモディティー・ファンド」が10月には16.1%の原油先売りで16.1%(通年も15%)のリターンを得たとの報道が市場を駆け巡る。株価大変動で苦戦中のヘッジファンドにとっては「干天の慈雨」であろう。
今や原油取引市場では自己勘定で売買する専任ディーラーが激減している。そもそもはドッドフランク(金融改革法)により大手投資銀行の原油部門が投機的とされ縮小・閉鎖の事例が相次いだ。その結果、市場の流動性が激減。原油市場のボラティリティーは異常に高まり自己勘定売買のディーラーが次々と退出した。代わりに市場の主役となったのがAIを駆使するヘッジファンドだ。
NYMEXのフロアーで人間による値決めが行われる時代は終わった。電子取引のプラットフォームでAIが発する売買注文が飛び交いモニター画面の数字だけが乱高下する。今や原油取引市場に人影が見られない。外野席でコメンテーターが後講釈を語る程度だ。
このコンピューターによる売買攻勢に対抗できるのが、サウジ・米国・ロシアの連合軍であろう。原油価格の長期トレンドを決するのは、やはり需給のファンダメンタルズ。それも世界最大級生産国が協調せねば投機の波に翻弄されるだけだ。
NY金は1210ドル台へじり安。
引き続きドル高。と言うよりブレグジットやイタリア不安を抱えるユーロ安でドル高。
今日の写真はバニラ・シャーベットなんだけど、これが濃いバニラ味でね。甘さよりバニラ独特の風味が優る。食後に爽快感。