豊島逸夫の手帖

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劇的なフェイスブック株暴落劇

2018年7月27日


24時間前には過去最高値圏にあったFB株が、2割近く暴落して時価総額13兆円が吹っ飛んだ。
四半期決算のアナリスト・ミーティングで最高財務責任者(CFO)が、中期的にこれまでのような収益は見込めないと発言。これまで成長株の代表格だっただけに市場のショックは大きかった。狼狽売りが売りを呼ぶ連鎖。
要はFBも成長期から成熟期に移行しているということ。
ユーザーたちにFB疲れの症状が出始めると広告収入にも陰りが見え始める。個人情報漏えいの不祥事もFB離れを誘発している。


昨日のNY市場では米欧通商交渉停戦合意という新規材料より専らFB株暴落の話題が優った。

ダウ平均は上昇したがナスダックは下落。
おまけにインサイダー疑惑まで飛び出した。
4~6月期にFB幹部がFB株1300万株を売却。
ザッカーバーグCEOは7月24日に52.4万株、25日に24万株を売却した。
実はこれ合法的。ザッカーバーグCEOは慈善目的で一定の売却計画のもとに保有FB株を売っているのだが、時期が時期だけに市場は素直に受け取れない。FB株価現水準より30ドル高く売却しているのだ。


それから金関係の話題は今朝の日経朝刊商品面。
「中国、海外の金鉱山に食指 相場上昇で開発機運 将来の価格決定権も視野」との記事。
世界最大手のバリック・ゴールド(生産量年間165トン)が、中国国営鉱山会社である山東黄金集団と共同で新たな鉱山開発・戦略的連携強化に動いているという話だ。チャイナマネーを招いて世界の有望鉱山権益獲得を目指す。


筆者は実際に山東省の金鉱山を訪問してきたが、その名も「金都」という金を基幹産業とする中堅都市があるほど。驚いたことは郊外の住宅地近くに忽然と金鉱山が姿を現す。南アフリカのジャングル奥地など過酷な自然環境とは全く異なる優位性のある鉱脈だ。深度も南アフリカの2000メートル級に比し500メートル程度と浅い。
社長が「ボーナス」で貰ったという金地金を得意げに見せてくれた。国営企業らしく利益ではなく採掘量の目標達成に対するご褒美だという。


中国は国の戦略としてレアメタルの金を備蓄する発想がある。それゆえ世界一を誇る国内生産量では足りず、海外金鉱山開発にも積極的に関わっているのだ。
日本も「リサイクル・買取り」で余った金を輸出するのに任せるのではなく、10年の計で国家備蓄するくらいの戦略が必要だと思う。

2018年