豊島逸夫の手帖

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テスラ名物社長の「株式非公開宣言」

2018年8月9日


テスラ社と言えば電気自動車メーカー。イーロン・マスクCEOと言えば良くも悪くも話題になる名物社長。ツイッターのフォロワーは2200万人に及ぶ。本業のみならず人類火星移住計画や宇宙ロケット再利用計画などをぶち上げる。


電気自動車開発など次世代産業開発には長期的視点・戦略が必要。四半期ごとの決算発表、その度にアナリスト・ミーティングで重箱の隅を突っつくような質問を受けることに我慢ならないという自説。この際、株式上場・公開を止めて非上場企業になれば本業に専心できると考えた。そしていきなりツイッターで株式非公開計画を明らかにしたのだ。


素通りされたメディアや虚を突かれたアナリストたちは一斉に反発。そのような大事なことをツイッターで呟くとはけしからんというわけ。
そもそも財務データを公開して市場に信頼されなければ、今後の資金調達にも支障をきたす。電気自動車本格開発には膨大な資金が必要だ。
更に、株式を非公開にするためには大量の流通株を買い取らねばならない。その資金の出し手としてマスク氏が狙うのは巨大政府系ファンド。ノルウェー、中国、アブダビ、クウェート、サウジアラビアなどの国家ファンドの名前が候補として挙がっている。
この非公開計画に、米国市場参加者の間でも賛否両論が渦巻く。
同族企業の如き形態になると社長の独断が幅を利かす。内部のチェック体制も甘くなる。
果たしてテスラ社はマスク氏のものか、株主のものか。
筆者はかねてから四半期決算にこだわりすぎの弊害を感じている方なので、マスク氏のやりたいようにやらせてやれ、と思う派。人類の夢の計画などそもそも3か月ごとに結果が出るはずもない。
でも、メディアにしてみれば名物社長が3か月に一度アナリストとやりあうのは恰好のネタになる。
実は金鉱山会社も短期に結果が出る企業ではない。山を掘って金が出るか出ないか、まさに「山師」の世界だ。うまく掘り当てても、その鉱脈で社員たちが数十年食ってゆけるような「鉱山寿命」戦略を練らなければならない。夢もあればリスクもある。
この問題、俄かに解決策が見つかるとは思わない。結局どちらかに賭けることになろう。

2018年