2018年7月23日
ドル高が進行してNY金が1210ドル近傍まで急落したところで、トランプ氏の米CNBCインタビューでの発言がドル急落を誘発。NY金は1230ドル台まで回復した。と言っても低水準だが。
今回のテレビでのトランプ発言はNY時間早朝から毎日流れる経済番組でのこと。その番組の名物キャスター氏との対談だった。材料視されたことは利上げについて異論を述べたこと。これについては前回本欄で詳述した。更にこのテレビ出演後にもツイッターで利上げ(減税、規制緩和など)がトランプ経済政策の恩恵を台無しにするとツイート。畳み掛けるようにホワイトハウスも声明で大統領は2回の利上げの影響を憂慮していることを明らかにした。波状攻撃で市場のドル安を誘発している。
トランプ発のドル安要因はこれだけではない。
米中貿易戦争をエスカレートさせるような発言もインタビューで飛び出した。中国からの全ての輸入に対して関税を引き上げる準備があると述べたのだ。中国が報復で対抗するなら、米国も更に関税引き上げで対抗すると言う。
これが本当に実施されるとなるとただ事ではない。市場も動揺した。これが直ちに決まるわけではないが、少なくとも中間選挙までは選挙区対策として言い続けるだろう。カドロー国家経済会議委員長は中間選挙以降もこの方針は変わらないと述べている。
このトランプ発言は効いた。外為市場でのドル買いをひっくり返しドル相場は一転売り=ドル安。113円台から110円台まで円高となっている。NY金の反発要因ともなった。
なお外国為替証拠金取引(FX)の市場ではミセスワタナベと呼ばれる日本人投機家集団が112円台で逆張りに出て巨額のドルを売っていた。トランプ発言はFX市場も救う結果になったのだ。
NY金については、まだ底入れとは言い難いが底値圏に接近と言えるだろう。