豊島逸夫の手帖

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貴金属市場、激震走る

2018年8月16日


NY金は1170ドル台。プラチナは760ドル台。パラジウムは840ドル台。暴落に近い状況。
冷静にまとめてみる。


・複合型ドル高構造。米利上げに新興国通貨安が加わった。新興国通貨が売られると買われるのはドルだ。ドルインデックスは96台に急騰。これに9月以降は米利上げによるドル買いが続く見込み。円は安全通貨として買われるのでNYドル建て金安と円高により円建て金価格は安くなる。


・コモディティー目線では金需要構造の7割が新興国に依存。今回の下げは先物売り主導ゆえ、いずれショートカバー(買戻し)も入るだろう。その時はV字型に回復するが実需のフォローがないと一過性に終わる。


・新興国中銀では自国通貨防衛のため為替介入用ドル資金の捻出が必要となることから、外貨準備として保有する金を売却する動きも見られる。


では、これからどうなる。
もう年初日経で語った2018年レンジ1335~1175ドルの下限に来てしまった。次の下値抵抗線は1130ドル。
中期的には底値圏と見る。強気。
新興国経済危機で9月利上げ見送りの可能性もある。トランプ減税の財源として米国債増発、米国財政赤字問題が懸念されドル信認低下の可能性もある。中国・中東の文化的金選好度の高さは変わらない。中国人が金を嫌いになるシナリオは考えられない(笑)。


円高でNY金も下がることは珍しい現象。頻繁に起こることではない。

2018年