2018年8月2日
日本国債異変第二幕は日銀金融政策決定会合後の記者会見で、黒田総裁が「長期金利変動幅は倍を念頭。」と語った時に始まった。
声明文には書かれていないことだが大本営発表の如き仰々しさは全く感じられずサラッと言ってのけたので、市場関係者も一瞬耳を疑った。
倍ということはマイナス0.2%からプラス0.2%のレンジとなる。日銀量的質的緩和縮小の第一歩を示唆と見てよいのか。黒田総裁の本気度を市場は試し始めた。
早速長期金利は急騰。日本国債市場は機能不全でこれまで殆ど音なしだった故、海外市場関係者たちは「ドラマチック」な動きと驚きを隠せない。NY市場では米国債利回り3%再突破のキッカケにもなった。
マーケットには2013年5月、当時のバーナンキFRB議長が金融緩和縮小に初めて言及したことで市場が大混乱に陥った「バーナンキ・ショック」の記憶が未だに生々しく残る。
今マーケットは「クロダ・ショック」の予告編を見ているのか。
日本国債異変の波紋が米国債にも及ぶのでNY市場でも気になる展開になっている。
今後は日銀金融政策決定会合開催の度に変動幅が拡大した日本国債市場が乱高下しそうだ。
FOMC議事録にも「他の中央銀行の動きも注視」と記されるかもしれない。今月の「ジャクソンホール中央銀行フォーラム」でもミスタークロダの存在感が強まろう。
なお記者会見の質疑応答で株式市場が耳をそばだてたやりとりもあった。日銀保有日本株売却の可能性について問われた時だ。まさに今の株式市場が最も知りたいことであろう。「投資家はそこまで永遠の先を考えて心配しないのでは。」とかわされたが、筆者は思わず「心配です。」と呟いてしまった。NYでの日本株レクチャーでも最も関心が高かった疑問でもある。日銀OBたちからは行内でさまざまなシミュレーションが行われている様子が伝わってくる。
国債のように償還で自然減する資産を「永遠」に持ち続けるわけにもゆかず後始末が厄介である。株価急落リスクを孕むため今年年初、日経平均3万円説が持てはやされたようなセンチメントが良好な時期を選ばないと潜在的ショックが大きい。
FRBにもECBにも前例がないので、この質問も記者会見の定番となりそうだ。
昨晩のFOMCで9月利上げほぼ確定。
12月利上げも確率高いがまだ確定とは言えない。12月利上げを市場が織り込む時がNY金の底値かな。