豊島逸夫の手帖

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「長期では価値がゼロ」VIX商品のリスク開示

2018年2月8日

今日の話はちょっとビックリする事なのだけれど、ある程度専門知識がないと分かりにくい。そのつもりで、あまり細部にこだわらず読んでみて。すっ飛ばしても結構(笑)。

以下本文

今回の相場大変動の「主犯のひとり」扱いされているVIXに連動するETNについて、驚くべきリスク開示がプロスペクタス(目論見書)に書かれていた。

組成・発行したスイス大手銀行が作成したプロスペクタスの197ページに「このETNの長期期待価値はゼロである。もし、このETNを長期に保有すれば、投資額の全て或いはかなりの部分を失う可能性がある。」とのくだりがあるのだ。

このリスク開示文言を果たして購入者が読んでいたか。商品マーケティングのプロセスでこのリスクが説明されていたのか。市場の一部からは疑問視する声もあがっている。

米国CNBCも報道したので、銀行側スポークスマンは「プロスペクタスで、本商品は短期投資向けに組成されたことが明確に語られ、プロの投資家のみに販売された。本商品はバイ・アンド・ホールド長期保有のための債券ではないことが明示されており、日計りに使われることを前提として組成された。」と反論している。

更に「規制当局はプロスペクタスのこのような文言を何故認めたのか。」との批判もあがっている。

一方、「プロの投資家であれば、このようなデリバティブのリスクは当然承知しているはず。」との意見も根強い。
そもそも、のETNの価値がなぜ長期的にゼロになるのか。それは信託報酬に相当する額の分だけETNの基準価値が徐々に減ってゆく仕組みになっているからだ。

「VIXが過去最低水準」などと連日のように報道された頃には、このようなリスクが問題視されることはなかった。VIXをショートする、即ち市場の低ボラティリティーに賭ける投資も人気が急上昇した。ヘッジファンドなども殺到して「今や市場で最も混みあう商品。」と言われた。しかし、その前提が数日で覆されるや、この当該商品から発生した損失は元本の8割から9割に達した。「過度の楽観論」「プロの慢心」のツケと言われても仕方あるまい。

このような商品の上場を認めた取引所の姿勢も批判の対象になる。

カリスマ投資家や大手ETF取扱い業者も巻き込み、市場内では論戦がヒートアップしている。

「最も混みあうトレード」とされるほどに取引が拡大していたので、今後、新たな事例が明らかになる可能性もある。

当局の規制強化も視野に入る展開になってきた。

さて、金価格の方は、やはり下放れ。1310ドル台。

1300ドル台を割り込んだら私も徐々に強気になってゆくと思う。1250ドルになればもっと強気になる。1200ドルになったらガンガンの強気になる(笑)。

2018年