豊島逸夫の手帖

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国際金市場で今年は注目される日銀

2018年1月23日

日銀金融政策決定会合後の黒田総裁記者会見を見ながら本稿を書いています。今日の会見については、日銀量的質的金融緩和の出口、つまりそろそろ幕引きになるのではないかとの観測が市場にくすぶる中で、黒田総裁がどのような発言をするか注目されました。記者会見での質問も、いきなり、ずばり、出口を考えているのかと核心に迫るものでした。結論から言うと、黒田総裁は明確に出口は未だ考えていない。2%物価目標達成には未だ欧米に比し距離がある。YCCイールドカーブコントロールで固定している長期金利を引き上げるとか、株ETF購入を減らすとかの「調整」については全て否定しました。

記者会見前の市場の反応は、もし出口に言及すれば円金利上昇が意識され円高になるとの憶測から若干円高気味の動きでしたが、記者会見中から円安に転じました。111円を挟むプラスマイナス20~30銭程度の限定的動きではありますが。

海外勢も今日の記者会見を注目していたのですが、サプライズ無しということで引っ込んだようです。

ドル相場が動けば金価格変動要因となるのですが、今回はそういうわけで特に反応は見られませんでした。

但し、今年は今後の日銀金融政策決定会合が再び注目されると思われます。世界の趨勢として欧米の中央銀行が既に出口に向かっているからです。周回遅れの日銀ですが世界の金利が上昇してくると日本だけ別世界というわけにもゆきません。マーケットはグローバル化しています。

個人的には日銀の大量株買い政策は異常と感じていますし、国債購入オペについても、もはや債券市場で買える国債が急減中です。実際に年間80兆円の国債購入目標も実績としては未達になっています。それゆえステルス・テーパリング(レーダーに映らない量的緩和縮小)などと言われるのです。先日も日銀が超長期国債買い入れ額を若干減らすよと通知しただけで、水音に驚く平家の如く市場は大騒ぎになりました。火のない所に煙は立たない。黒田総裁の4月任期切れも含めて、日銀周りの材料には要注意だと思います。

なお、今週はこれも注目度が極めて高いECB理事会があります。金価格上昇要因になっているドル安ですが実態はユーロ高。ECBの量的緩和縮小がその背景。その結果としてドル安になっているだけ。その延長線上で日銀が動き円高になればドル安になり、NY金(ドル建て)が買われるという発想になる。

そして今日の旨い物写真はスペイン料理。前菜、魚、肉(イベリコ豚)のコースでスペイン現地の料理に比し、日本は上品な感じだね。

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2018年