豊島逸夫の手帖

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ヘッジファンドが仮想通貨NEM相場に食指

2018年1月30日

ヘッジファンドの中のディストレス型は、破綻懸念があり価格が著しく下がっている企業の株などに投資する。その種のファンドがNEMに注目している。彼らの見立てはこうだ。

コインチェック事件のハッカーの口座は特定されるが保有者は特定できない。盗んだ大量のNEMを現金化すれば「足がつく」から犯人は退蔵せざるを得ない。その結果、マーケット感覚ではNEMの供給が激減して需給が締まるので買い材料となる。

コインチェックが本当に480億円を返金すれば、NEM価格本格反騰のシナリオさえ描ける。

そこで、コインチェック事件を嫌気して米国市場に上場されているビットコイン先物価格が急落すれば、彼らには買いのチャンスと映るわけだ。仮想通貨市場で日本は5割近いシェアを持つので、日本の動きは米国市場にも直接的影響を与える。

価格グラフを見ても、コインチェック事件が発覚した1月26日には米国ビットコイン先物価格(CME)が11500ドル台から10200ドル台まで急落した。しかし週が明けると11000ドル台を回復して乱高下している。

ビットコインが華々しく米国先物取引所に上場されたが、参入が期待された機関投資家は模様眺めの様相だ。皮肉なことに、コインチェック事件が市場の流動性を高める結果になるかもしれない。

そして、昨日のNY市場では米10年債利回りが2014年4月以来という2.7%に上昇した。3%も視野に入る。やはり今年は利上げの年という現実が市場内にジワリと沁みてきた感じ。今週はイエレンさん最後のFOMCもあるし。イエレンさんは利上げを中途半端なところで辞めることに未練タラタラのご様子。もっとスッキリと利上げを進めてから辞めたかったのだろうね。その分、後任のパウエルさんが大変だけれど。

金利が上がれば金利のつかない金は売られ1340ドル前後まで急落。下がっても依然高水準。

2018年