豊島逸夫の手帖

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どうなる来年の金価格

2018年11月30日
             

今週発売の日経マネー最新号は「金&プラチナ」別冊付き。

私が直接監修・出演したから中身は濃いよ~~必読(笑)。

そして今日の原稿。

昨晩のNY市場は米中会談に関する動きと、FRBの利上げ姿勢に一喜一憂する展開となった。

ダウが最安値をつけた時は、トランプ習近平会食に対中強硬派ナバロ氏も同席するとの報道が流れた時だ。一方、トランプ氏が対中合意模索の姿勢を見せると株価は反騰。市場内の長期マネーは長期化必至と割り切り傍観を決めこんでいる。対して、短期マネーは様々な憶測を売買材料に仕立て短期戦を仕掛ける。総じてマーケットはトランプ氏と習近平氏が笑って握手するだけで当面の安堵感が醸成され、株価押上げ要因になると期待している。決裂すれば株価急落は必至で、株価を通信簿とするトランプ氏が望むところではないとの読みもある。市場は株価を人質にとった如き発想だ。

なおブエノスアイレス滞在中にトランプ氏が直接会談するのは、習近平氏、メルケル氏、安倍氏の3名に限定されるようだ。韓国文大統領の名前も挙がっていたが事務レベルでの会合に留まるとされる。

利上げ関連では11月FOMC議事録が発表された。「緩やかな利上げ」との表現を声明文から削除すべきかとの議論が注目される。緩やかでも迅速でも利上げペースに関する表現は取り除き、全てはデータ次第、予め決められたペースはないのがパウエル流ということか。これまで記者会見がなかった1月、5月、7月、11月のFOMCでも記者会見を開き、刻々変わる経済情勢に柔軟に対応しつつ次の利上げ有無を決めてゆくスタンスだ。実務・現実路線と言えようか。市場はこれまで3月、6月、9月、12月のFOMCで利上げの可能性だけを取沙汰してきたのだが、来年からは経済に大変動あれば、例えば5月に利上げするような事例も考えねばなるまい。ほぼ通年、利上げのトピックが市場変動要因となりそうだ。

なお一昨日、株価急騰のキッカケとなったパウエル発言を市場は誤解していたのではないかとの議論も浮上している。

そもそも中立金利が3%前後とされるのは9月発表のドット・チャートで「2022年以降の最終的金利水準予測」が2.5%から3.5%のレンジで割れており、その平均をとったものだ。正確には2.5%が3名、2.75%が4名、3%が6名、3.25%が1名、3.5%が1名となっている。

そこで10月にパウエル氏は平均値の3%からはほど遠いと語った。然るに一昨日の講演ではレンジの下限2.5%には近いと述べたとの解釈である。したがってパウエル氏の発言は変わっていない。利上げ棚上げではなく、まだ3回以上は利上げの余地を残すという意味とのエコノミスト見解が市場では注目されている。

米中貿易戦争と様々な金利予測がマーケット内で火花を散らせている。

 

 

 

 

 

2018年