豊島逸夫の手帖

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西野監督は投資家向き指導者

2018年6月29日

期末に負けを最小限に留め、今期は勝ちで収める。

ワールドカップのポーランド戦。終了前10分に勝ちを捨てひたすら守りに徹した戦術に議論沸騰。会場は大ブーイングであったが投資家目線なら評価されるべき行動だ。

筆者もスイス銀行のトレーダー時代にスイス人の上司から、攻めて勝つより守って勝つ方が難しいと叩きこまれたものだ。

フェアプレーポイントという評価制度も興味深い。企業内人事評価と相似点を感じる。リスクを取らなければイエローカードをもらう可能性も減る。減点パパの人事考課では出世コースに勝ち残れるかもしれない。但し、コンプライアンス順守ばかりではイノベーションも生まれない。コーポレートガバナンス・コードも想起させる制度だ。

総じて、今の欧州情勢を象徴する展開も印象的である。

メルケル首相凋落傾向のドイツは屈辱の敗北。英国はEU本部・ブリュッセルを首都とするベルギーに敗れた。メイ首相はEU離脱交渉が遅々として進まず国内・国外から四面楚歌の状況だ。折りしもEUサミットが移民問題を巡り紛糾。欧州内部亀裂が露呈している。ワールドカップでも移民家族出身のプレーヤーが目立った。

国と国がぶつかり合うサッカーの試合も経済目線では違った景色が映る。

2018年