豊島逸夫の手帖

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南北対話、有事の金は急騰

2018年3月7日

南北首脳対談合意、北朝鮮非核化検討の報道後、金価格は急騰した。10ドル以上上昇して、1320~1330ドル台に水準を切り上げている。

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朝鮮半島緊張緩和シナリオに金市場は懐疑的だ。過去に北朝鮮の融和路線に反応して金が売られたが、結局ハシゴを外された事例が市場の記憶に残る。トランプ大統領の慎重な歓迎ツイートが流れても金は買われ続けた。北朝鮮が非核化の条件として米軍撤退を持ち出す可能性が強いと読む。結局ミサイル開発の時間稼ぎとの見方が根強く、これでこじれたら逆に緊張が増幅されるとの懸念もある。

一方、2日の市場では北朝鮮より保護主義の方が材料視された。

特に、政権内で自由貿易派の旗手コーン国家経済会議委員長の辞任説が再び流れ市場では不安視された。トランプ大統領の「ホワイトハウスの中に代わって欲しい人たちがいる。」とのツイートも注目された。対象候補として名が挙がるのはセッションズ司法長官とコーン氏である。そして今朝になって遂にコーン氏辞任が発表された。今晩のNY株価はかなり下げそうだ。トランプ大統領に対して「殿、ご乱心。」と言える人物が政権から消えることで益々トランプ不安が市場では高まる。

実は、コーン氏は元々NYMEX(ニューヨーク商品先物取引所)で金・原油などの売買の場立ちをやっていた。自分を売り込み遂にゴールドマンサックスのNo.2まで登りつめた人物だ。マーケット出身として市場の信頼も厚い。それだけに衝撃なのだ。

なお、半島情勢だが米朝対話まで進展しても有事の金が半島緊張緩和シナリオで売られる可能性は低い。

2018年