2018年8月10日
「米中貿易戦争にまで事態が悪化したのは、習近平政権が米国に対し、愛国主義的な強硬姿勢をやり過ぎたからだ。」
盤石と思われた習近平一極集中体制に対して、共産党内や一部学者から公然と批判の声が上がるようになりました。昨日はロイター電が伝え、NY市場でも話題になり日経も書いています。
中国のリゾート地「北戴河」で毎年開催される長老たちと現役最高指導部との恒例会議でも、この問題が挙がったとも報道されています。
長老たちは物価高など米中貿易戦争の影響が庶民に及び、社会不安が高まるリスクを最も嫌います。習近平国家主席もさすがに長老たちを無視するわけにはゆかないようです。
特に習近平個人崇拝の風潮に警戒感が強まっています。
更に批判の矛先がまず習近平側近の重要人物に向けられています。
現政権側も習近平ポスターを取り外すなどの措置を実行しているようです。
米中貿易戦争に関して中国側は読み違えていました。
ワシントンでの米中直接経済対話で大筋通商問題は解決の道筋がついたと見ていたのです。ところがその後トランプ大統領は知的財産権保護、ハイテク産業の技術流出などを理由に追加関税を発動。中国側も報復せざるを得なくなったのです。トランプ大統領はとにかく中間選挙しか頭にないから、国民受けする対中強硬策を相次いで打ち出したというのが実態でしょう。クビになったはずの右翼黒幕とされるバノン氏の影響が再び政権内で台頭しています。
かくして貿易戦争が消耗戦になると痛みは一般市民に拡散するは必定。
中国国内にくすぶっていた習近平警戒論に火が付いたわけです。
現政権が大きく揺らぐことはないと思いますが、ある程度の妥協姿勢を示さねばならないでしょう。
要は米中共倒れという最悪のシナリオを回避するために、トランプ大統領も習近平国家主席も振り上げた拳の落としどころを探っているのです。