豊島逸夫の手帖

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遂に長短金利逆転

2018年12月4日

昨晩の米国債券市場で3年債利回りが2.838%、5年債が2.834%と一時的ながら僅差で逆転する現象が生じた。長短金利差を映す代表的な指標とされる10年債と2年債の利回り格差は依然順ザヤだが、10年債で2.966%、2年債が2.821%とその差が14ベーシスポイント(0.14%)程度まで縮小している。これは2007年以来の利回り格差縮小とされる。

このイールドカーブ平坦化異変は米中会談直後に生じたことが示唆的だ。

基本的に短期金利はFRBが決めるが長期金利は市場が決める。

暫時休戦に突入して、とりあえず追加関税は90日間棚上げとなり、12月米国利上げは予定どおり実行されそうだ。それゆえFRB政策金利と相関が強い2年債利回りは前日比でほぼ変わらず。一方、米中通商摩擦長期化を懸念して、将来のインフレ期待を映す10年債利回りは4ベーシスポイントほど下落した。

その結果イールドカーブのフラット化が進行したのだ。

逆イールドが起きると過去の事例ではタイムラグを経て景気後退入りしている。

ウォール街の強者でも気味悪がる現象だ。

近づく12月FOMCで利上げが予定どおり決定されれば、その時点で10年債と2年債の利回り逆転が生じる可能性がある。市場には切迫感が強まっている。

昨晩は米中通商交渉90日間執行猶予となり、安堵相場・株急伸となったがマーケットの眼は債券市場に向いている。

金利が下落して不吉な兆候が現れると、NY金は10ドルほど上昇。1230ドル台。

但しドルインデックスは依然97近くで高止まり。欧州不安、ユーロ安の裏返しでドル高が続いているのだ。これがNY金の頭を抑える。

■金価格グラフ

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■3年債、5年債利回り逆転グラフ

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■2年債、10年債利回り格差、歴史的推移

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影の部分が景気後退局面。その直前に逆イールド(金利差マイナス)に沈んでいる。

 

 

 

 

2018年