豊島逸夫の手帖

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物価安、何が悪い?

2018年9月26日


初心者向けセミナーでよく聞かれます。
日銀はとにかく物価上昇率2%まで引き上げることを目標として、それが達成できないことは好ましくない。物価が本格的持続的に上がり始めるまでは「量的緩和」政策を続けると言っていますよね。でも庶民感覚では物価が安くて何が悪い。モノの値段が上がらなければ家計が助かる。黒田総裁はエリートだから庶民感覚が分からないのではないの?という素朴な疑問です。


日銀金融政策決定会合の後の記者会見で、いつも黒田総裁と日銀記者クラブの記者たちとの間で「禅問答」の如き質疑応答が繰り返されるのですが、国民の理解を得るためにはもっと素朴な疑問にも答えるべきでしょうね。


物価が上がらなければ確かに家計を預かる主婦は「助かる」のですが、旦那さんが勤める会社の立場になると、物価が上がらないということは販売価格も上がらず売り上げが伸びないということにもなります。更に物価伸び悩みが長期化すると、旦那さんの会社の企業業績も低迷してボーナスも減り、挙句はリストラなどという事態にもなりかねません。稼ぎ頭のお父さんがリストラの対象になったら家庭の一大事でしょう。
物価は経済の血圧みたいなもので、高血圧(インフレ)も低血圧(デフレ)もやばいのです。
ですから物価上昇率2%という目標も、血圧が高過ぎず低過ぎずの最適状態(マーケットではゴールディロックスと言われます)に相当するわけです。


明朝、日本時間27日早朝に米国FRBがFOMCを開催して金利を引き上げる予定です。マーケットが注目していることは、FRBも日銀と同じく物価上昇率2%を目標として既にほぼ達成しつつあるのですが、これで米国に関しては「量的緩和」という点滴を外しゼロ金利を脱却して利上げを開始すること。更にこれまで投与した「量的緩和マネー」を回収する段階で「低血圧」症状がぶり返さないのか。あるいは点滴を停止・回収且つ利上げ(金融引き締め)するタイミングが遅きに失し、物価上昇に歯止めが効かなくなる悪性インフレにならないのか。昨日紹介したバロンズ紙の「金は安い。インフレが来る。」という警告は、この後者の場合に備えよということなのですね。
パウエルさん率いる新生FRBは、今後の物価見通し、そして利上げの可能性をどのように「診断」しているのか。注目されるイベントです。


なお私も明朝から夕方までインタビュー、取材などで出ずっぱり。「今後の米国金融政策」について午後1時25分くらいから日経CNBC生出演で解説も予定されています。↓


https://www.nikkei-cnbc.co.jp/program/180927_marugoto


そして今日の旨いもの写真は梨のパフェ@ミニストップ!
私はミニストップのソフトアイスの大ファン!今時180円だか200円だかでこれだけバリューがあるのも珍しいよね。スキーやゴルフのスポーツ後には必ず寄ってパクリ。我ながらいじらしい(笑)のは、血糖値急上昇を避けるため泣く泣く半分残したりすること。まさに断腸の思い。。。とは。大袈裟か~~~~。


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2018年