豊島逸夫の手帖

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フェイスブック・スキャンダル

2018年3月20日

昨晩、NY市場でフェイスブック株がいきなり6%も急落した。時価総額6兆円ほどが瞬時に消えたことになる。ハイテク株が軒並み売り込まれ、ダウ平均が300ドル以上急落することにもなった。金価格はそれまで1300ドルの大台寸前まで下がっていたが、この株急落で息を吹き返し1320ドル前後まで戻した。

キッカケは週末にNYタイムズなどが報道したフェイスブック会員5千万人(!!)の個人情報漏洩疑惑。且つ、その情報が米大統領選挙でトランプ陣営により世論操作のために使われたというもの。英国のケンブリッジ・アナリティカというリサーチ会社が持ちかけた。ちなみにトランプ陣営の黒幕だったバノン氏が同社幹部とのこと。

この事件が他人事ではないのは、フェイスブック社が貴方のFBへの書き込みや好みなどを把握していること。更に、FBにログイン状態の間はサイト閲覧記録まで把握できる。そのデータを基にFB社は貴方或いは家族に最も効果的な広告を画面に表示する。

このマーケティング手法は選挙運動に応用できるので、ケンブリッジ社がトランプ陣営に売り込んだと思われる。

この第一報をツイッター@jefftoshimaで流したら「そこまでやるか」「これからFBこまめにログオフする」などの反応が見られた。

FB社に「盗聴」されているような感覚だろうね。

以前からFB社の情報管理が甘いのではないかとの批判があったので、これをキッカケにSNS規制強化の議論が噴出しそう。規制となるとそれはそれで異論が出るだろうね。最も強く規制に動きそうなのはEU。

ちなみに私はFBをやってない。理由は単に面倒くさいから(笑)。

インスタもやれとよく言われるけど、仕事の上で知り合った人たちが週末どこに行こうと何を食べようと勝手でしょという感覚かな~~(笑)。

ツイッターは私からの一方的情報伝達のために便利なので使っている。ただフォローされているだけでフォローしている人はゼロ。

それから、コモディティー関係で気になるニュースは、サウジの国営石油会社アラムコ上場が当面国内証券取引所限定となり、海外の大手証券取引所でのIPOは当分見送りとのこと。史上最大のIPOと鳴り物入りで主要証券取引所が誘致合戦を繰り広げていたので意外な展開に。サウジ国内だと市場の流動性も少ないから、金魚鉢に入った鯉みたいな状況になるのでは。実権を握る30歳台の皇太子も案外慎重みたい。

最後に、明日祝日を挟んで明日日本時間深夜から早朝にかけて、パウエル新FRB議長初のFOMCと記者会見。焦点は今年の利上げ回数が3回か4回か。完全雇用に近い経済に大型減税や大型インフラ投資を注入すれば「過熱」リスクがあるから、利上げ回数を増やすとの議論だと4回。いやいや未だインフレ率が目標2%に届かず、利上げは慎重にという意見なら3回。どちらとも決めかねるので今回は3回にしておき、後日4回に変更する手もある。例えば今回はFRB経済見通しを強めに出す、或いは今後FOMCのたびに記者会見を開くとする(これまでは記者会見なしのFOMCもあり、その回に利上げは無かった)など。これらは4回への布石となろう。

金価格はざっくりと言えば、3回ならドル安NY金高。4回ならドル高NY金安。

このパウエルデビュー戦のFOMCについて22日午後1時25分から日経CNBCに生出演してマーケット全般を解説するよ。VODでも見られる。

2018年